「イールドカーブ(Yield Curve)」日本語では「利回り曲線」という意味で債券の残存期間と利回りの関係を表したものである。X軸に債券の残存年数、Y軸に利回りを配置してグラフ化する。通常は10年物など長期の金利の方が1〜2年の短期の金利より高くなる。定期預金でも5年定期の金利の方が1年定期の金利よりも高いということを思い起こせばイメージしやすいだろう。(そうでなければ誰も長い時間資金を動かすことのできない長期の定期預金など利用する気は起こらない)

イールドカーブ(Yield Curve)とは?

グラフはざっくりと以下のようなイメージでカーブを描くのでイールドカーブという。

つまりイールドカーブは通常、右肩上がりの曲線を描くことになる。短期と長期の金利差が小さくなるとイールドカーブはなだらかな形になる、これをフラット化という。短期と長期の金利差が大きくなるとイールドカーブの勾配は急になる、これをスティープ化という。一般的に景気が転換期を迎えて金利水準が今後どう変化するかが不透明なときには長期金利と短期金利の差が小さくなりフラット化、将来の景気の見通しが明るくなっていくような状況では長期金利が上昇して短期金利との差が拡大し、スティープ化するとされている。

逆イールドとは?

イールドカーブにはもうひとつパターンがある。それは短期の金利が長期の金利が上回る状態。つまりイールドカーブで左側の方が高くなる部分が現れることである。これを逆イールドと言う。それに対し冒頭のような右肩上がりのイールドカーブは順イールドと言う。通常の状態である順イールドに対し、この逆イールドはめったに発生しない珍しい状態である。逆イールドは景気減速の前触れであるという見方がある。順イールドの傾きが急勾配(スティープ)であれば景気の先行きに楽観的、フラットになるに連れて不透明ということであればその先にある逆イールドも良くない状況を想像するのは自然なことだろう。

逆イールドの発生

2018年12月3日に3年物の米国債の金利が5年物のそれを上回り、逆イールドが発生した。2年物と10年物の米国債の金利差も10年ぶりの水準まで狭まった。時を同じくして米国をはじめとした世界の株式市場の株価が大きく下落した。そんなこともあり逆イールド化が景気減速を予想させ、株式市場に悪影響を与えたという報道は少なくない。短期金利は政策金利の影響を受けやすく、長期金利はどちらかというと実態経済のファンダメンタルズの状況を反映すると言われている。つまり今回短期金利が跳ね上がったのは米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備委員会)が継続的な利上げを表明していることが要因であるのは間違いない。

それに対して長期金利は景気が良く株式市場が活況のときは上昇し、景気が後退すると下落する。債券という商品は買いが優勢であれば価格が上昇して利回り(金利)が低下し、売りが優勢であれば利回りが上昇するので、好況時には債券が売られてその資金が株式市場に流れ、不況時には下落する株式市場からの逃避場所として債券市場にお金が戻ってくるからだ。長期金利の下落には確かに景気の先行きへの不安感が見て取れる。

しかし利上げは景気の加熱を沈静化させるための金融政策である。アメリカの失業率は3%台後半という史上最低の水準。ダウ平均株価は10月5日に史上最高値の26,951.81を記録して今もそこから90%以内の範囲にいる。いわばFRBの政策は合理的な範囲内に思えるのだが。。株式市場にしてもイールドカーブにしても反応が敏感過ぎるような気もする。

今年2月に米国株が史上最大の下げ幅を記録したときに人工知能(AI)を使った自動売買が下落の規模も速度も増幅させたという話があったが、これも時代が生み出した独特の「揺れ」みないなものだろうか?それとも普通にバブル崩壊の始まりなのだろうか?

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