成長性、参入・運営のしやすさ、外国人投資家の受け入れ環境などから不動産投資をするうえで海外の投資家が今もっとも注目している地域から厳選の6ヶ所。

ロンドン(London):英国

Affordability Ratio:14.82

・人口の流入は続く。2035年までにロンドンの人口は現在の878万人から12.2%増の1,000万人に達する見込み
・低金利と為替のアドバンテージで外国からの投資が短中期で盛んな状態にある
・2021年までにロンドン中心部の住宅価格15.2%、グレーター・ロンドンの住宅価格は19.2%上昇すると見込まれている

ロンドンは今後も世界をリードするビジネスと商業の首都であると同時に世界経済の司令部的な役割を果たし続けるだろう。現在建設中の鉄道クロスレール(Crossrail)もロンドンの価値を大きく変える要素だ。年間200万人の乗客を運び、平均通勤時間を25%短縮するクロスレールの完成時には沿線の不動産価格は13〜20%上昇するはずだ。英国の大手不動産コンサルティング会社サヴィルス(Savills)によればロンドンの賃貸価格の伸びは物価価格のそれよりずっと速く、これからの5年間で24.5%上昇すると見込まれている。2011年から2016年の間にロンドンの雇用は18%、ロンドンの人口は7%増加したが、一方で住宅供給は4%しか増えていない。増え続ける需要に応えるために2017年には64,000ユニットの完成が必要となる。住宅の賃貸需要は過去10年で45%増加した一方で空室率は最低水準にの2.5%程度を推移している。

マンチェスター(Manchester)

Affordability Ratio:4.5

・イングランド北部経済振興策(Northern Powerhouse)が引き続きマーケットにポジティブな感情を与え続ける
・マンチェスター市中心部の人口は2025年までに14%増加すると見込まれている
・住宅価格は2017年から2021年の間に28.2%上昇すると見込まれている

英国の国際経済誌「The Economist」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット
(Economist Intelligence Unit)がおこなっている世界居住適合性調査(Global Livability Survey)によれば、イングランド北部経済振興策(Northern Powerhouse)の追い風を受けているマンチェスターは英国において最も住みやすい都市に4年連続でランクされている。住宅価格は過去5年で25%の上昇を記録しており、賃貸価格は2017年から2021年の間に20.5%伸びると予測されている。63%が賃貸世帯という環境の中、表面利回りは2016年末の時点で6.73%と健全な水準にある。ニューヨーク・メロン銀行(BNY Mellon)がおこなった調査によれば2025年までにマンチェスター市中心部だけで55,000の新たな雇用が創出される。それはもちろんさらなる住宅需要をもたらすことになる。

バーミンガム(Birmingham)

Affordability Ratio:4.8

・110万人の人口を擁する英国第2の規模の都市
・バーミンガムの20年大都市プラン:経済特区はGBP15億(約2,250億円※)の投資と180万m2のフロアスペースと50,000の雇用を誘致すると見込まれている
・住宅価格は2015年から2016年の間に6.37%上昇している

バーミンガムは英国で2番目に多い人口を誇る都市であると同時に75,000人以上の学生が学ぶ5つの大学がひしめく教育の街でもある。「20年大都市プラン(20 years Big City Plan)」と市内の交通機関、科学技術のインフラへのGBP10億に及ぶ多額の投資によりバーミンガムは都市としての大きな将来性が期待されている。不動産価格は2015年から2016年の1年間に6.37%も上昇し、ロンドンの有名な不動産仲介会社であるナイト・フランク(Knight Frank)は2015年から2019年の間のキャピタルゲインを17%と見積もっている。2021年までに4,200ユニットの新たな住宅が必要と試算されている一方で今後3年間で2,300ユニットしか供給されないという見込みは物件価格をさらに押し上げると予測されている。

リバプール(Liverpool)

Affordability Ratio:5.1

・イングランド北部経済振興策(Northern Powerhouse)の対象になっている都市でありイングランド北部では第2の経済規模を誇る
・過去10年間にGBP50億がリバプールに投資された
・住宅価格は2017年から2021年の間に8%上昇すると見込まれている

過去10年間、リバプールで実行された多額の投資により、この都市の経済は極めて良好な状態で推移している。リバプールの物件価格はピークからまだ4.9%程度低い位置にあり、上昇余地は大きい。賃貸価格は2017年から2021年までに17.6%の上昇が見込まれている。リバプールには合計学生数50,000人を数えるの3つの大学があり、物件の3分の2が賃貸用として稼働している。今や市中心の人口の半分を占める若年専門職(Young professional)のニーズに合致した高品質の物件の建設が強く求められている。

ベルリン(Berlin)

Affordability Ratio:データなし

・ベルリンの人口は過去5年間で200,000人増加している
・2030年までにはさらに400,000人の住民が増えるとみこまれている
・2016年の1年間にベルリンのアパート物件の価格は13%上昇しており、これはドイツの都市の中でもトップである

健全な経済基盤と人口の流入でベルリンは引き続き世界の不動産投資家からもっとも有望な市場のひとつと見なされている。人口の継続的な増加により現時点での失業率は8.8%だが、スタートアップ(起業)のメッカとしての名声を確固たるものにするにつれ、雇用状況は継続的に改善してゆくはずだ。2030年までに一年あたり20,000ユニットの住宅供給が必要とされているが昨年はわずか12,000ユニットの供給にとどまっており、需要を40%下回っている。その影響で空室率は1.2%程度の低空飛行で推移している。住宅価格の上昇圧力はドイツ国内のどの都市よりも高い。賃貸価格の伸びも力強く、過去4年間毎年5.1%から6.9%の間で推移している。

シカゴ(Chicago)

Affordability Ratio:3.8

・米国第3の規模を誇る都市
・不動産価格はピークより10%程度低い水準にある
・住宅価格は過去5年間で36%上昇している

フォーチュン500にランクされている企業のうちの34社が本社を置くアメリカ第3の都市シカゴは金融のハブとしてだけでなく科学技術産業の先駆的な中心としての地位を確固たるものにしている。シカゴは2015年度にUSD6,300億、2016年には6,440億という巨大な都市GDPを誇っている。一方でシカゴの物件価格はまだ2008年の金融危機以前のピークを下回っておりその上昇余地は大きく、過去5年間で36%の伸びを記録している。賃貸価格も上昇基調にあり、2016年から2017年の間に10%上昇している。

※GBP1=JPY150 2017年9月時点のレート

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