ポルトガルはヨーロッパ、イベリア半島の西端に位置する国。面積は約92,000km2、人口は1,064万人。ちょうど北海道と青森県を合わせたぐらいの広さに東京より若干少ない人々が暮らしているというイメージで捉えると良い。
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ポルトガルという国
2016年の名目GDPは約2,000億ドル(約22兆円)でベトナムとほぼ同じ、都道府県では神奈川県より若干小さいぐらいの経済規模である。国の西部は長い海岸線で大西洋に面していて15世紀からの大航海時代にはバスコ・ダ・ガマが南アフリカの喜望峰を回ってインドに達し、ペドロ・アルヴァレス・カブラルがブラジルを発見するなど海洋進出を果たし、広大な植民地を持つに至った。ブラジルの公用語は現在もポルトガル語であり、中国のマカオは1999年にポルトガルから返還されている。16世紀に種子島に鉄砲を伝えたのもポルトガル人である。
南欧諸国の投資移民プログラム
ヨーロッパ、特に南欧の諸国では投資移民政策を導入している国が多い。スペインやポルトガルではEUR500,000(約6,200万円※)、キプロスではEUR300,000(約3,720万円)、ギリシャはEUR250,000(約3,100万円)の不動産に投資をすれば居住権を得ることができる。※EUR1=JPY124(2017年6月時点)これらの国はヨーロッパのシェンゲン協定に加盟しておりドイツやフランスを含む25の加盟国に国境検査なしで移動することができるので特に海外での居住権獲得を望む中国人の申請が多い。
ポルトガルの投資移民プログラム「Golden Residence Permit Program」
ポルトガルの移民プログラムは「Golden Residence Permit Program」で2012年に運用が開始され、2017年までの約5年間に約5,000人の人がこれを利用してポルトガルの居住権を取得、その8割程度が中国人である。ちなみに上海の僕の知り合いの中国人も一昨年このプログラムを利用してポルトガル居住権を取得している。
ポルトガルの投資移民計画で取得した居住カードは最初の1年で更新、その後は2年毎の更新となり3回の更新つまり5年を満了したら永住権を申請できる。許可を得た最初の年は年間最低7日間ポルトガルに滞在、その後は2年間で合計14日間の最低滞在が必須となっておりそれが更新の条件となっている。居住権取得後6年後に帰化申請も可能になる。
そうした需要増もあってポルトガルの国家データ統計局(INE)によると2016年第3四半期の不動産価格指数(HPI)は前年同期比で7.6%の上昇を記録。不動産取引件数では同じく第3四半期の前年同期比で15.8%増加している。
ポルトガル不動産
ポルトガルでの不動産取得にかかる税金は6.5%の不動産取得税と0.8%の印紙税、不動産保有にかかる税金は固定資産税があり物件が郊外にあるか市街地にあるかまたは物件そのものによって0.3%から0.8%(市街地は0.3%から0.8%、郊外は0.8%)と幅がある。
物件を30日以上の中長期賃貸に出して家賃収入を得る場合はその所得に対して28%の所得税がかかるが30日以下の賃貸になると所得税はさらにその35%となり短期の賃貸に有利な税制になっている。
例えばEUR1,000/月の家賃で1年の賃貸に出した場合の所得税はEUR12,000X28%=EUR3,360なのに対し、30日以内の短期の賃貸で繋げばEUR12,000X28%X35%=EUR1,176となる。ポルトガルの平均気温は夏季で20度から26度、冬季で7度から11度と非常に過ごしやすい気候なのでAirbnbなどで休暇を過ごしに来るヨーロッパ北部の人々や他の地域からの観光客に短期賃貸に出すのが有効な方法である。
ポルトガルの物件例は以下の通り。
【物件A】
所在地:リスボン旧市街
形態:マンション
間取り:1ベッドルーム〜2ベッドルーム(ロフト付き)
面積:61〜134m2
価格:39万ユーロ〜
その他条件:表面利回り5%で5年間の賃貸保証
【物件B】
所在地:リスボン旧市街
形態:マンション
間取り:2ベッドルーム
面積:88.84m2
バルコニー面積:12.83m2
価格:50.2万ユーロ〜
その他条件:表面利回り3%で5年間の賃貸保証
【物件C】
所在地:カスカイス(リスボン県南西部)
形態:タウンハウス
間取り:3ベッドルーム(ロフト付き)
面積:322〜410m2
価格:66万ユーロ〜
投資移民プログラムとは
一定金額以上の投資を目的国で実行すればその国の居住権が得られるという制度は数ヶ国で導入されている。ちなみに僕の住む香港では2003年から2015年までCITSという投資移民プログラムがあった。
当初はHKD6,500,000(2017年の現為替レートで約9,000万円)を香港に投資すれば居住権が得られるものだった。この制度に自由度の高い生活を求める中国本土の人が殺到して投資対象としての香港不動産価格は跳ね上がった。2003年は謎の伝染病SARSが流行した年で香港の不動産価格が地に落ちたときである。
だからこうした対策を採ったのかもしれないがその効果は予想以上だった。急上昇した香港不動産価格は2017年の現在では対2003年比で約4倍になっている。中国人の自由に対する渇望と資金力はここまで力強い。一方で高騰した家を買えなくなった香港の若者の不満が3年前の大規模デモの一因になっていると言われている。