「元本保証」

すべての運用期間に渡って元本が減ることなく満期償還時に必ず投じた金額以上が戻ってくる商品である。代表的なものには定期預金、国債・地方債・社債などの債券、養老保険など一部の保険商品がある。

投資におけるリスクとリターンの関係

ハイリスクにはハイリターン、ローリスクにはローリターン。リスクとリターンが同じぐらいの振れ幅になるというのは投資の原則である。投資した原資が減らないというのは極めてリスクが低い。その代わりに投資利回りも高くなり得ない。(もしローリスクでハイリターンを謳うものがあったら疑った方が良い)

さらに細分化するとローリスクローリターンの投資の中でも比較的振れ幅の小さいものと大きいものがある。日本の定期預金や日本国債などはもっともリスクの低い部類に入る投資だがそれだけに利息はごくわずか。日本国という世界的にも高い信用力を誇る主体がその支払いを担保しているからだ。

社債は一般的にそれらよりも利回りが高い。倒産により債務不履行になる確率が国に比較して高いのでそれぐらいのリターンがなければ誰も手を出さないからだ。元本保証の金融商品はお金を寝かせておいても仕方がないがリスクは極力取りたくない、という人にとってまず検討したいカテゴリーだ。

元本保証型長期積立ファンド

「元本保証の長期積立はないか」という質問はよく受ける。

15年積立で満期時に積立総額の140%が保証される商品がある。15年間のパフォーマンスがそれ以上であれば利益はさらに上乗せされるがファンドのパフォーマンスが見込みを下回っても元本の140%の償還がある。例えばUSD1,000/月を15年で総額USD180,000を積み立てると満期のときに最低でもUSD252,000になっているということ。ただこれには契約した15年間一度も欠けることなく積立を全うするという条件がある。

途中で積立金の支払いを一度でも休んだりすると140%の保障はなくなり、純粋なパフォーマンスのみが収益となる。積立を開始してから24ヶ月間の初期積立期間がありその間に解約をすると投資資金は戻らないがその期間を過ぎるとプランからの引き出しや資産価値の40%までの借入が可能という柔軟性もある。ただし途中引き出しをした場合も満期時の元本140%保証はなくなる。

元本保証型長期積立ファンドの運用例

積立プラン:USD1,000
積立年数:15年
総積立額:USD180,000
年平均利回り4%で運用できた場合の満期返戻金:USD252,000
年平均利回り7%で運用できた場合の満期返戻金:USD272,395

元本保証型長期積立ファンドとポートフォリオ型長期積立ファンドの比較

従来型のファンドラップ型長期積立ファンドはプラットフォーム上の様々なファンドを組み合わせてポートフォリオを作り、随時それをスイッチングしながら運用してゆく。それに対し元本保証型ファンドの場合は米国の株価指数に連動したファンド1本のみに投資され、選択の余地はない。

ポートフォリオ内のファンド構成の組み替えによりテコ入れができるという点でポートフォリオ型長期積立の方が柔軟性は高い。15年の積立投資で140%ということは複利で平均年利回りは4%強である。年平均利回りで7%〜10%を狙ってゆくファンドラップ型長期積立と比較すればパフォーマンスは低めであるがここは元本保証による安心感とトレードオフだ。

元本保証という点では2017年5月下旬時点で10年物米国債(※)の利回りがが約2.3%、30年物米国債の利回りが2.9%程度。民間企業の運営する金融商品であることそして15年の積立をきっちり完了するという縛りあることがリスクプレミアムとなり、アメリカが担保している米国債より1.5%ほど高くなっていると判断できる。

※米国債には利付け債と割引債がある。利付け債であれば半年に一度単利の利払いがあり、それを追加投資すれば複利運用となる。割引債は複利運用である。

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