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ビットコインがBTC1=USD19,497.4という高値を記録したのは2017年の12月。「ICO」、「億り人」、「草コイン」などという聞き慣れない言葉が飛び交った、いわゆる暗号通貨バブルのときのこと。

バブル崩壊により一時は3,000米ドル台にまで暴落したビットコインは3年の月日を経て2020年12月に過去最高値を抜いてBT1=USD20,000を突破した。今から約半年前のことだ。

そして、2021年2月には米電気自動車メーカー大手「テスラ(Tesla)」が当時の価格で約15億ドル分のビットコインを購入、翌月には自社製品の購入の際ビットコイン決済への対応を開始。米決済サービス大手のペイパル(PayPal)は3月30日に消費者が何百万というオンライン事業者のサイトで仮想通貨を使って精算できる新機能「Checkout with Crypto」の立ち上げを発表。こうした世界的企業が実際に保有に乗り出したり、決済手段として採用することによりビットコインの価値は急騰。4月11日には取引時間中の最高値USD64,863を記録した。アメリカ民主党政権が暗号通貨資産を含む金融資産に対するキャピタルゲイン課税の増税の計画に関する報道がなされ一時USD48,000台まで下落したが、現在は少し値を戻してUSD54,000前後で推移している、、という記事を書いたのが4月末のことだった。

6月24日現在のビットコインの価格はBTC1=USD33,000あたりを上下している。2ヶ月でUSD20,000以上、約40%下落したことになる。この間、5月上旬にビットコインを大量購入して決済方法として採用したテスラのCEOであるイーロン・マスクが大量のエネルギーを消費するビットコインマイニングの環境への悪影響を批判し、テスラ車販売におけるビットコイン受け入れを一時停止するというツイートを発しビットコインはUSD30,000台に下落。

イーロン・マスクは6月に入ってからビットコインマイニングが環境基準をクリアできればビットコインによるテスラ車の購入を再び受け付けるとツイートし、価格はUSD40,000を回復した。大物ビジネスマンがネット上でつぶやくだけでこれだけの乱高下をする。今や先物市場でも取引されているビットコイン、このつぶやきひとつで破産したり、自殺したり、人生を破壊された投資家もいるのではないだろうか。そもそも自社でも大量のビットコインを購入している(10%は高値で売却済みだったと言う)ので自分で自分の首を締めているようにも見えるのだが、、凡人には理解のできない感覚なのかもしれない。

今週になって今度は中国が一部の銀行と決済企業に対し、仮想通貨取引の取り締まりを強化するよう指示した。そして仮想通貨取引の決済を直ちにできなくするよう求めたほか、仮想通貨に関連したサービスの提供を禁止した。これによりビットコインは一時3万ドルの大台を割り込んだ。

一方で今月始めには中米のエルサルバドルでビットコインを自国の法定通貨にするという法案が可決した。エルサルバドルはすでに自国通貨の発行を断念して米ドルが法定通貨となっており、将来は米ドルとビットコインが正式な通貨として同国内に流通することになる。エルサルバドルでは国民の70%が銀行口座を持っていないために多くの人が貯蓄や投資などの金融サービスを受けられない状態にある。スマホを通じて様々な金融サービスの媒介が可能になるビットコインが法定通貨となればこの問題も一気に解決すると期待されているようだ。

これに成功すれば同じような環境に置かれている国も追従することが考えられる。ビットコインをはじめとする暗号通貨は「誰か」が支配者となっていた従来の国家が発行する法廷通貨と対極をなす思想に基づいている。それに最も抵抗するのはやはり国家ということになるだろう。一方で先進の技術である暗号通貨の特質を利用しながら新たなコンセプトで国内の金融に係る問題の打開しようとする主体もまた国家である。

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