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2023年6月14日現在、ドル円の為替相場はUSD1=JPY140前後を推移している。

どこかこの水準に慣れてしまった感もある。2022年年初にはUSD1=JPY115ぐらいだったドル円相場は米ドルの利上げが始まった2022年3月以降急激に円安ドル高が進み、2022年10月には一時USD1=JPY152近くにまで到達したので、その時よりはまだ10円以上高いというのが「慣れ」の根底にあるのかもしれない。しかし2000年から2020年の20年間もドル円はUSD1=125〜75円のレンジを上下していたのだ。その頃の感覚に戻って改めて考えるとやはり異常な円安状態である。

米ドルの利上げと円安ドル高

ここまで円安ドル高が進んでしまった原因は間違いなく日米の金利差である。米ドルの金利は年に8回行われるFOMCにて決定されるが、国内の強いインフレ圧力を背景に先月までに以下のように上げ幅は違えど10回連続の利上げが決定されている。

【FOMC日程】 【政策金利(前回からの利上げ幅)】
2022年1月25日〜26日:0.00~0.25%
2022年3月15日〜16日:0.25~0.50%(+0.25%)
2022年5月3日〜4日:0.75~1.00%(+0.5%)
2022年6月14日〜15日:1.50~1.75%(+0.75%)
2022年7月26日〜27日:2.25~2.50%(+0.75%)
2022年9月20日〜21日:3.00~3.25%(+0.75%)
2022年11月1日〜2日:3.75~4.00%(+0.75%)
2022年12月13日〜14日:4.25〜4.50%(+0.5%)
2023年2月1日〜2月2日:4.50〜4.75%(+0.25%)
2023年3月22日〜3月23日:4.75〜5.00%(+0.25%)
2023年5月3日〜5月4日:5.00〜5.25%(+0.25%)

円安の原因と功罪

一方で日本円は2016年以来今日に至るまで一貫して-0.1%のマイナス政策金利を維持し続けている。この間、日本銀行は10年ぶりに黒田東彦氏から植田和男氏への総裁の交代があったが、就任後最初の日銀金融政策決定会合でマイナス金利と金融緩和政策の維持を表明したので一時期120円台となっていた日本円は再び売られて現在の水準に落ち着いた。日常的に日本円を使う日本人は別として、外国人は銀行に置いておけば年5%殖える米ドルの代わりにまったく金利のつかない日本円をキープしておく意義は極めて小さく、こぞって円売りドル買いに走ることになる。輸入品の価格が上がったり、海外旅行がえらく高くつくということは誰しもが感じていることだろう。

円安は悪いことばかりではない。外国人にとってみれば、かなり格安で日本で買い物をしたり、グルメを堪能したりできるので余暇を楽しむ旅行の目的地として選択されることが多くなる。いわゆるインバウンド消費の増加だ。そして日本円がここまで下がれば海外よりも国内の方が低コストであるという状況も生じ、生産拠点の国内回帰、輸出増にもつながる。

2023年6月13日の日経平均株価は33,000円を超え、バブル以後33年ぶりの高値となった。アメリカの著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株への投資を増やしているというニュースに代表されるように、円安は外国人投資家にとっても投資しやすい環境でもあるのでこの傾向が続けばついに日経平均の新高値更新も見えてくるのではないかというのは気が早いだろうか。(30年以上も平均株価が最高値を抜けないのは主要国では日本のみ)

米ドルと日本円の金利の行方

しかしもちろんそうはならない可能性もある。米ドルの利上げの主要目的は米国内のインフレ退治であることは明らかだが、度重なる利上げの効果もあってか昨年一時9%以上もあった消費者物価指数(CPI)対前年同月比は以下のように順調に落ち着いてきている。

2022年01月12日 (2021年12月):7.0%
2022年02月10日 (2022年1月):7.5%
2022年03月10日 (2022年2月):7.9%
2022年04月12日 (2022年3月):8.5%
2022年05月11日 (2022年4月):8.3%
2022年06月10日 (2022年5月):8.6%
2022年07月13日 (2022年6月):9.1%
2022年08月10日 (2022年7月):8.5%
2022年09月13日 (2022年8月):8.3%
2022年10月13日 (2022年9月):8.2%
2022年11月10日 (2022年10月):7.7%
2022年12月13日 (2022年11月):7.1%
2023年02月14日 (2023年1月):6.4%
2023年03月14日 (2023年2月):6.0%
2023年04月12日 (2023年3月):5.0%
2023年05月10日 (2023年4月):4.9%
2023年06月13日 (2023年5月):4.0%

昨日発表された数値が4.0%だ。おそらくこれ以上の利上げは必要ないだろう。

そして明日6月15日日本時間の午前3時、米国政策金利の発表がある。10回連続していた利上げは今回で止まると予測されている。

2023年下半期には米国も景気後退に入り、来年2024年には今度は米ドルは利下げの方向に舵を切るのではないかという見方もある。6月16日は日本円の政策金利発表及び植田日銀総裁の記者会見がある。(ちなみにその間にユーロの政策金利発表もある)

ということで、現在今後の為替相場や株式市場に対する影響という意味では結構重要な3日間に差し掛かっているのである。

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