2. インターネットバンキングのロック
3. ATMカードのエラー(PIN失念、カードの故障・無効)
4. セキュリティデバイスのバッテリー切れ
5. 凍結解除
以上が我々が相談を受けるHSBC香港に関わるトラブルのトップ5である。
Contents
日本人とHSBC香港口座開設
日本人がHSBC香港口座を開設するということがもっとも盛んに行われていたのはいつだろうか。日本居住者が海外に口座を持てるようになったのが1990年代終盤から2000年代初めに行われた大規模な金融制度改革、「金融ビッグバン」を起点にするのは間違あるまい。
それ以前は原則日本居住者が海外に銀行口座を持つことはできず、口座を持っている日本人は駐在員や留学生などの海外居住者に限られていたからだ。ちょうど2000年代の初め頃に「海外投資」とか「タックスヘイブン」とか「PT(パーマネントトラベラー)」というキーワードを携えた書籍が次々に発行され、HSBC香港の口座開設についても触れてあることが多かったのでその頃から徐々に増えはじめたと考えられる。
我々が本格的にHSBC香港の口座開設サポート業務を始めたのは2010年。その頃にはすでに多くの人が口座開設に訪れており、HSBC香港の支店ではよく日本語での会話が聞こえてきたものだ。
我々の経験上のピークは2012年〜2013年頃。ひと月に20〜30名/月ぐらいの口座開設サポートをしていたのを記憶している。当時は他にも同様のサポート業務を行っている会社が多くあったので少なく見積もっても数百名/月の日本人が新規に口座を開設していたと推測する。その後断続的に一定の英語力を要求されるようになるなどHSBC香港口座開設のハードルが上がり、難しくなってきたこともあり口座開設希望者自体も少なくなっていった。つまりひっきりなしに口座開設サポートをおこなっていた時代から約10年が経過したことになる。
口座開設時に発行されたATMカードの有効期限も10年で期限切れの達した人から順次新しいATMカードが届いていたりする。そんな節目もあり現在HSBC香港口座の利用に関わるトラブルの相談が増加の一途をたどっているのだ。
HSBC香港口座トラブルトップ5と対処法
常日頃からインターネットバンキングにログオンしたり、口座内の資金を動かしたりしておけば基本的に問題はない。
しかしついつい長時間口座を放置してしたり、パスワードなどの誤入力でロックしたり、必要な個人情報の変更を行わなかったりで、口座が一時的に使えなくなってしまうことが往々にして発生する。
そんな感じで発生するランキングの上位トラブルパターンとその対処法は以下の通り。
1. 住所変更、メールアドレス変更、携帯電話番号変更
基本的にこれら個人情報の変更はインターネットバンキング上で簡単に行うことができる。しかしそれを怠ってしまうことによる悪影響は小さくない。
まず住所やメールアドレスを適切に変更しないとHSBC香港からの郵便物やお知らせが届かなくなる。新しいATMカードなどの重要なアイテムがきちんと現住所に届かなければトラブルは2次災害的に拡大してゆく。また現在はテレフォンバンキングで問題解決を図る際にはSMSでパスコードが携帯電話に送られてきてそれをカスタマーサービスに伝えて本人確認を行う必要がある。携帯電話番号の変更がされていなければもちろんパスコードは受け取れないのだ。
インターネットバンキングが使えなくなった場合、個人情報の変更は書類をダウンロードのうえ、記入、郵送することによりおこなう。
2. インターネットバンキングのロック
インターネットバンキングのログオンにはデュアルパスワードによるログオンとセキュリティデバイスによるログオンという2種類の方法がある。
デュアルパスワードによるログオンはIDにあたる「ユーザーネーム(Username)」を入力後に「メモラブルアンサー(Memorable Answer)」と「パスワード(Password)」という2種類のパスワードを
入力することによりログオンをおこなう。
セキュリティデバイスによるログオンは「パスワード(Password)」の代わりにセキュリティデバイスで生成するパスコードを入力してログオンする方法だ。そのいずれかの情報が間違っているともちろんログオンに失敗するが誤入力を3回以上繰り返すとインターネットバンキングがロックされてしまう。ロックされてしまった場合はテレフォンバンキングに電話してロックを解除したうえで、間違えた情報の復旧作業をおこなう。
3. ATMカードのエラー(PIN失念、カードの故障・無効)
ATMカードのトラブルで最も多いのがPIN(暗証番号)の失念だ。
HSBC香港のATMカードはセブン銀行などで出金が可能だが、暗証番号の入力を3回続けて間違えるとロックされてしまう。もし香港でロックしてしまったら支店ですぐに解除が可能だが、日本でロックされた場合は新しいATMカードを再発行申請が必要になる。
PINを忘れた場合は同時にPINの再発行もしなければならない。再発行申請は申請用フォームをダウンロードして記入・署名のうえ、香港に郵送する必要がある。申請してからカードやPINが届くまで1〜2ヶ月程度。ある程度時間のかかる作業になるのは覚悟しなければならない。
4. セキュリティデバイスのバッテリー切れ
セキュリティデバイスのバッテリー切れは口座開設からある程度長い年月が経ったら必ず直面する問題だ。セキュリティデバイスのバッテリーが切れると液晶画面に何も表示されなくなり、インターネットバンキングを通じた様々な操作ができなくなってしまう。
一方で電卓型のセキュリティデバイスはすでに発行停止となっており、すべてスマホアプリを通じたモバイル・セキュリティデバイスへの移行が必須となっている。この手続きのためにはテレフォンバンキングに電話して、電卓型デバイスとのリンクを初期化してもらい、あらためてモバイル・セキュリティデバイスの設定をする。そしてスマホの機種変更をするときにまた新しいスマホへの移行手続きをするという流れだ。
5. 凍結解除
HSBC香港は24ヶ月間口座内の金額に動きがないと凍結口座(Inactive Account)となり、出金や送金、両替など一切の操作ができなくなってしまう。逆を言えば凍結を防ぐためには2年以内にATMから出金したり、インターネットバンキングで両替や振替などをおこなって口座内の金額に変動を生じさせておけば良い。
しかし言うは易し行うは難し。
2年という時間はすぐに過ぎてしまうものでふと気づいたらすでに凍結していたというケースは跡を絶たない。再び口座を使えるようにするためには凍結解除という作業をおこなわなければならない。実はこの凍結解除は以前は香港に来て手続きをする必要があった。しかし現在はテレフォンバンキングで解除手続きができるようになっている。
凍結解除手続きの内容は主に個人情報の確認であり結構質問数も多く、相応の英会話能力が必要とされるが日本にいながらにして完了するというのは大きな改善であると言える。