「ドルコスト平均法」
投資対象の価格の上下に関わらず定期的に一定の金額を投じて購入してゆく投資手法である。例えばAというファンド(投資信託)を毎月10万円ずつ買ってゆくとする。Aの価格は上がったり下がったりするがどんな現在価格がいくらかに関わらず10万円分だけ買うのである。
Aの価格が1万円の時は10万円で10単位買える、翌月1万2,500円に上昇しても10万円分だけ買うので8単位になる、その翌月は8,000円に下がったので10万円で12.5単位買う、、ということを続ける。要するに価格が高いときも安いときもまんべんなく決まった金額分だけを仕入れる。
長期でこれを続けると平均価格で買うことになるので損失の出るリスクを抑えて安定した運用が可能になる。またこの手法は投資に関する知識や技術があまり必要とされないので投資初心者でもすぐに取り組めるというのも大きな優位点である。
日経平均株価の歴史上の最高値は38,957.44円。これを記録したのは1989年12月29日、東京証券取引所の大納会(その年の最後の取引日)9:04AMのこと。年が明けた1990年から株価は下落を始め、今に至るまでその水準には戻っていない。俗に言うバブル崩壊である。
今年は2019年。
ということはちょうど30年前の今頃は日本中が好景気に狂喜乱舞したバブル経済の最後の年が始まった時期だ。1989年の1月始値は30,243.66円だったので年末までにそこから8,700円も上昇し年末にパッと散ったことになる。
海外の長期積立商品で積み立てができる最長期間は一般的に25年(RL360は30年)だ。
ふと、”この30年間、日経平均をドルコスト平均法で積み立てていたらどうなっているのだろう?”と考えた。
30年間の日経平均の推移をチャートにすると以下のようになる。
最初の一年で急激に上昇したあと急落、リーマンショック後の2009年頃に底をつけてすり鉢状に回復し現在は最高値の半分ぐらいまで戻っているということがわかる。ぱっと見でも”あまり儲かりそうもないな。。”と誰もが感じるのではないだろうか。30年前に日本株を一括購入して、仮に今まで持っていたとしたらその価値が約半分に目減りしているのは明らか。しかし毎月少しずつ購入しながら積み立てていたとしたらその収支はどうなっているのだろうか?
以下は仮に1989年1月から2018年12月までの毎月月末の日経平均株価の終値を50,000円/月で買って積み立てた場合の収支だ。(実際には日経平均指数の積立商品などないだろうが概念的な話として理解してほしい)
中略
例えば1989年1月の日経平均株価の終値である30,183.79円を1単位の価格として、50,000円で1.58単位買えるという意味である。これを30年間続けると、50,000円を360ヶ月投資したので合計投資額は1,800万円。購入したのは合計で1,229.29437単位。これに2018年12月末の終値である20,014.77円を現在価格として乗じると約2,460万円になる。差し引き660万円が利益、37%のプラス運用である。
30年で37%の利益は決して多くはない。しかしチャート上は儲かりそうもない日本の株式市場でもドルコスト平均法であればプラスに持ってゆくことが可能だというのは証明された。ちなみに同じ期間での米国ダウ平均株価指数のチャートは以下の通り。
これをドルコスト平均法で毎月USD500ずつ投資したと仮定して同じ計算をしてみたところ、232%のプラス運用であった。
世界の市場を見渡してみると多くの国の市場で2018年に過去最高値を記録している、つまり右肩上がりのチャートを描いている。過去の高値に達していないのは日本、中国、フランスなどむしろ少数派。人類全体で見れば太古の昔より今日に至るまで一貫して右肩上がりの経済成長を続けている。
ドルコスト平均法で世界に分散投資をすることが効果的である所以だ。