2023年度の日本の出生者数は72.7万人。毎年過去最低を更新し続けている。

日本の出生者数のピークは敗戦後の1947〜1949年の第一次ベビーブーム、いわゆる団塊世代が生まれた頃は出生者数が毎年260万人を上回っていた。それから約25年後の1971〜1974年がその子どもの世代である団塊ジュニアの第二次ベビーブーム。親の世代ほどではなかったもののこの時期も出生者数は年間200万人を超えている。その後は一貫して減少が続いた。

2023年、日本の人口統計

同じ周期で行くと1995〜1999年頃に団塊孫世代の第三次ベビーブームが起きるかと思いきや、そんなことはなくこの世代は晩婚・晩産となり、出生者数100万人台がフラットに続く形になった。この時代はいわゆる就職氷河期にあたり、非正規雇用という言葉が生まれた頃。時代のめぐり合わせが結婚や出産どころではなかったということも容易に想像ができる。氷河期に大勢で放り出された団塊ジュニアの苦労が改めて偲ばれるデータでもある。

いわば日本は多くの出生数が見込める時代を経済の停滞が原因で不運にも潰してしまったことになるのかもしれない。そして団塊ジュニアが40代となった2016年、ついに出生数は100万人を割り込み、2019年に90万人を割り込み、2022年に80万人を下回った。

以下のグラフは厚生労働省のHPから引用したもの。

Screenshot

※出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html

2019年時点が最新となっているデータを載せているのもいかがなものかだが、2040年の推計が74万人となっており、2023年の出生数を二度見して当時の見込みよりも17年も前倒しでその数字を達成してしまっていることに、改めて予想を大きく上回った出生減になっているのだな、、と認識を新たにする。

2023年度合計特殊出生率

一人の女性が一生の間に出産する子供の人数を表す合計特殊出生率は1.2となった。現在の人口を維持できる合計特殊出生率は2.3だとされているので、その約半分しかないということで当然ながら日本の人口も急速に減少中。2023年度の死亡者数は157.6万人。出生数の72.7万人と差し引き84.9万人の減少、今年は都市人口ランキングで全国14位の大阪府堺市(人口82.6万人)が消滅したのと同じ規模の人口減となった。

日本人口のピークは2008年の1.28億人。2023年は1.24億人なのでこの15年で日本人は約400万人減ったことになるが、これが年間100万人単位で減ってゆく時代が近い。余談になるが、合計特殊出生率は特に東アジアでの急落が顕著で韓国で0.72、香港で0.77、台湾で0.72と日本よりもずっと低い数値を記録している。韓国は多くの研究機関で「人口減少で地球から消滅する最初の国」と見られているらしいし、中国は今急いで台湾の軍事侵攻をしなくてもこのまま待っていれば自然に、、ということも想像できてしまう。しかし、当の中国がまた巨大な人口問題を抱えているのだが。。

在日外国人の増加

話を日本に戻す。日本人の絶対数が減少する一方、増えているのが在日外国人だ。現在日本に居住する外国人は340万人。1990年代初めには在日外国人は約120万人だったが、日本の人口がピークを迎えた2008年は約220万人、そこから日本人は400万人減ったが外国人は120万人増えたことになる。確かにホテルや飲食店やコンビニに入ると、そのスタッフの多くが外国人であるのにはもはや違和感も覚えなくなったが、先日実家近くの中学校の傍を通り過ぎたときに東南アジア系の子供がかつて自分たちが着ていた制服を身に着けて学校に通っているのを見かけたときは”こんな田舎にまで外国人の子供が!”と少なからず驚いた。

在日外国人が増加しているトレンドを肌で感じる出来事だ。それでも今日本に住む人の中で外国人の占める割合は2.7%。OECDの調査によると欧米諸国の外国生まれの人の人口比率は、

カナダが21.3%(2018)
ドイツが16.2%(2021)
イギリスが14.0%(2019)
アメリカが13.6%(2021)
フランスが13.3%(2021)
イタリアが10.4%(2021)

であるようなので日本はそれに比べてまだまだ低い。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)では減ってゆく日本人人口に対して増えてゆく外国生まれの人の人口比率が10%を超えるのは2067年頃というシミュレーションを出している。先の例にもあるように現実はこうしたシミュレーションをも超えて推移するということはあるものの、欧米の状態に追いつくのにあと40年ぐらいかかるというのは結構な時間があるとも言える。

良質な移民の受け入れ

先日中国から日本に移住した人と会った。「日本は好きですわぁ。自由だし、政府も信用できる」と話していた。その人は中国人起業家で過去に2社をアメリカで、1社を香港で、幹部として上場させた優秀なビジネスマン。今は築いた資産を日本に持ち込み、11棟のマンションを保有し、インバウンド関連の事業も展開して日本の経済にも貢献している。上海で暮らし、何も心配していなかった2022年、突如のロックダウンで自由を奪われ自分の将来に恐怖心を抱いたのが海外移住を決断するきっかけだった。日本ではあまり知られていないが、各国はこうした良質な移民を取り合っている。

最近、日本での在外外国人と地域住民との軋轢もよく耳にする。技能実習生の名を借りた低賃金労働者として日本に入国する外国人も多い。所得が低ければ、心が荒れたり、犯罪に走る可能性も高まるのは無理もないことだ。海外からの移民が流入するトレンドが不可避であるのなら、日本も今ある魅力を活かし将来のために入ってくる人の質を高める方に舵取りをしてほしい。

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