149円台、32年ぶりの円安水準。Yahoo!ファイナンスのUSDJPYの月足チャートをチェックしてみたらデータが1996年からしかなかったので当時のレベルが目視できなかった。

32年前の1990年。歴史を紐解いてみると、1990年1月31日、ソ連のモスクワでマクドナルド一号店が開業(確かついこの前撤退したっけ、、ってかロシアでなくまだソ連)

2月〜3月にラトビア、リトアニア、エストニアがソ連から独立宣言(ソ連が解体し始めたとき。この頃はウクライナもソ連の一部か)

32年ぶりの円安

8月、イラクがクウェートに侵攻(湾岸戦争に発展するんだよな。当時クウェートは世界で最も所得が高くフェラーリに乗って出国する難民がいたとかいないとか)

10月、西ドイツ、東ドイツが統合して改めてドイツに

プロ野球で野茂英雄投手が最多勝利・最優秀防御率・最多奪三振・最高勝率の投手四冠、そしてベストナイン・新人王・沢村栄治賞・MVPを受賞日本人選手がMLBで継続して活躍できるきっかけとなった人がこの時まだ新人。しかしすごい成績、、)

11月、任天堂がスーパーファミコン発売、そしてその頃バブルが崩壊

Windows95をきっかけにインターネットが普及する5年ぐらい前、携帯電話もほとんどの人が持っていなかった。

そんな時代以来の円安。

日本円為替相場の経緯

戦後のブレトンウッズ体制下でUSD1=JPY360に固定されていた日本円が1973年に変動相場制に移行してから上下しながらも徐々に米ドルに対して上昇してゆき、1985年のプラザ合意以降円高が加速、1987年頃には120円台に達した。この頃は高度経済成長を支えた輸出産業の多くがまだ日本国内にあり、円高によってそれらが大打撃を受け、円高不況と呼ばれる不景気に陥った。その円高を抑えるために当時の日銀が超低金利政策に踏み切った。

2022年の今、各国が金利を引き上げる中で日本だけがマイナス金利政策を堅持していることがこの円安の大きな原因になっていることを考えれば、低金利が通貨安につながることは理解がしやすい。持つなら金利の高い通貨の方が得なので低金利通貨は売られやすいのだ。

とにかく当時の水準としてはひどく高騰した日本円を売ってもらうことを大きな目的として大幅な利下げに踏み切った。そしてその低金利状態が国内での資金調達を容易にして、多額のマネーが不動産投資に向かいバブル経済を生むことにもなったのである。それはさておき低金利政策により日銀の思惑通り円相場はUSD1=JPY160の手前まで下落した。それが1990年、32年前のことだったのである。

円安のメリット・デメリット

円安にはメリットもデメリットもある。メリットは国全体の経済にとっては良い影響が比較的大きいということだろう。国内に生産している製造業などの輸出産業にとっては強い追い風になることはもちろんだが、ここまで円安が進むとかつて中国などに移った生産拠点が日本に戻ってくることも大いに考えられる。また海外の子会社などからの配当等、海外投資によるリターンが円換算で膨れ上がることにより企業収益も増加する。一方でデメリットは輸入品の調達コストの上昇から物価上がってしまう点が挙げられる。

食料自給率が低い日本では食料の多くを輸入に頼っている、また石油や天然ガスなどのエネルギーなど経済活動の根幹をなす資源も基本的には輸入品だ。また個人としては海外旅行やショッピングの際のコストが異常に高く感じたり外貨換算した日本円資産の急激な減少も小さくない問題だろう。

日本人が海外へ出稼ぎにゆく

アメリカでは一泊200ドルのホテルが今や日本円では3万円、一風堂や一蘭のラーメンは一杯3,000円近い価格と聞くと日本人にとってはやはり「高っ!」と思わず声が漏れてしまう。まあ、これはあちらのインフレも作用しているので純粋に円安のせいとも言えないが、、

しかし例えばそういう飲食店で働いて受け取る給料でも日本円換算すると月40万円以上にもなると言い、若い人たちはワーキングホリデー制度などを使って日本から出稼ぎに出るというようなことも増えているらしい。

1990年頃から日本は長らく中国人や東南アジアからの出稼ぎを受け入れる側だったことを考えると為替変動がこれほど世の中の急激な変化をもたらすものかと改めて驚く。香港の僕の住む地域では50㎡ぐらいのなんの変哲もない中古マンション一室がHKD1,000万以上の価格で売られている。1,000万香港ドルは1億9,000万円である。東京山手線圏内で10部屋ぐらいの木造アパートが普通に買える価格だ。その「安いなぁ」という感覚が10年前の東南アジア、20年前の中国に対して自分が感じたものと符合して思わずはっとした。まあ32年も戻れば無理もないか。

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