日本には公的年金制度という政府が運営する年金があるが、海外にはそんな福祉制度のない国も少なくない。そういう国の人は民間企業が提供している積立商品を利用して老後の生活資金の備えとしているのだ。

公的年金制度のメリット・デメリット

公的年金制度にはメリットもデメリットもある。我々日本人は20歳になると自動的に国民年金に加入し、好む好まざるに関わらず年金の積立が義務付けられる。(学生の間は年金保険料の支払いが猶予される手続きもある)国民年金は企業に就職すれば厚生年金に公務員になれば共済年金に代替される。加入を拒絶することはできないが逆を言えば老後資金の準備を忘れることもない。公的年金がなければ最初から自ら老後の生活の手当をしなければならないのでここに強い自覚が必要となる。老後資金の形成にも自己責任が求められるのである。

そうした国の人たちが老後の備えとして利用しているのが「生命保険」と「長期積立ファンド」である。

海外生命保険の利用法

「生命保険」生命保険は人の予期せぬ死亡に備えて利用する運用商品である。例えば一家の大黒柱である自分にもしもの事があった場合、収入が途絶え、残された家族が生活に困り、子供の進学も難しくなるということが充分に考えられる。そうならないために自分が死んだら死亡保障として5,000万円とか1億円とかまとまった金額が家族に支払われる生命保険に加入してその保険料を支払うのである。が、生命保険の機能はそれだけではない。生命保険に加入してある程度の期間が経過した後に解約をすると解約返戻金というお金が戻ってくるのだ。

生命保険契約をして15年とか20年なりの時間保険料を支払い続けて自分や妻も年をとり、子供も無事独立した。今自分が死んでも家族の将来や家計にそれほど深刻なダメージはない。そんなときに生命保険を解約すれば解約返戻金が戻ってきて自分の老後資金として使える。

海外の生命保険は運用利率が比較的高いので日本の生命保険と比較して同じ死亡保障額の契約でも支払保険料は少なくて済み、解約返戻金も多い。生命保険契約をしてだいたい15年ぐらいで解約返戻金は自分が支払った保険料の総額に追いつき、それ以降になれば更に利回りが乗ってくるので保険という安心を買いながら老後資金を作ることができるのである。ただもちろん解約返戻金のリターンは死亡保障という別のメリットを買っている分、一般的に次に述べる長期積立ファンドほど高くはない。

長期積立ファンドの利用法

「長期積立ファンド」は毎月少額の資金を積み立てるように投じて、世界のあらゆる投資対象で運用されているファンド(投資信託)を複数組み合わせたポートフォリオで運用してゆく商品である。ポートフォリオは自分で作ることもできるし、一定の手数料を支払って専門の運用チームに代行してもらうことも可能だ。自分で決めた金額をクレジットカードからの自動引き落としなどを通じて10年〜25年という期間で積み立てて長期スパンで運用することができる。

こちらは上記の生命保険と比べて死亡保障分がないので投資資金は純粋にファンドでの運用で回ることになる。なので、死亡保障の必要のない人や生命保険の解約返戻金よりも大きな老後資金を効率よく作りたい人はこちらを利用することになる。加入するのも自分の意思次第であれば、運用結果も自分次第であり、自分で投資した資金はすべて自分のものであり、いついくら受け取るかはすべて自分で決められる。

この辺りは自分の意思に関わらず加入し、運用結果もすべて国任せであり、将来の受け取り時期や受け取れる金額も自分では決められない公的年金とは違う。

さらに長期積立ファンドは民間企業ならではの以下のような柔軟性もある。

・積立金の増額・減額が可能
・積立を一時的に休止することが可能
・積立金の一部を途中で出金することもできる
・途中で解約することもできる(ある程度のペナルティは発生する)
・最後まで積立を完了した契約者にはボーナスがある

 

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