上海市にある「自然博物館」に行った。地球の生まれた当時から原始生命体が誕生して、それが進化してゆく過程を化石や実物大の恐竜の模型や動物の剥製、映像などで観覧することができる。夏休み中の日曜日のせいか、たくさんの親子連れでごった返していた。その中にあった人類の現在の人口と出生数、死亡数をリアルタイムに表示する電光掲示版にしばし見入ってしまった。
世界の総人口:7,528,205,857
今日の誕生者数:271,170
今日の死亡者数:112,095
数字は目の前で目まぐるしく増えている。おそらく直近の平均値に合わせて自動で数字を動かしているのだろう。世界人口が75億人。僕が小学校だか中学校の授業で聞いたのは60億人なので人類の人口は30数年で15億人、25%も増えているのだ。今日一日だけでも16万人も増加中だ。しかし、、わが日本国に限って言えば年々人口は減っている。
日本の人口は2006年に1億2774万人でピークに達したあと、2007年度からは死亡者数が出生者数を上回る人口減少社会にある。2016年の時点で日本人の出生数は976,979人。一方、死亡者数は1,307,765人。出生数が100万人を切ったのは明治32年(1899年)に近代的な人口統計が開始されてからはじめてのこと。そして死亡者数が130万人を超えたのもまた戦後初である。2016年1年間で330,786人の人口が減少したことになる。高知市や前橋市の人口が約33万人。県庁所在地の自治体が一年で消滅する規模にまで人口減少は加速している。
2016年10月1日時点での日本の人口は1億2,693人。そのうち65歳以上の人は2016年9月15日(敬老の日)時点で3,461万人。全人口の27.3%が高齢者ということになる。この割合はこれからもどんどん増加してゆくはずだ。すなわち世界の人口はどんどん増加しているにもかかわらず日本人は次第に減ってきており、その中でも若い日本人はますます希少になっている。人類の中で日本人の濃度が急速に希釈されているのは確か。ふと目を右手に転ずれば絶滅した動物の絵と絶滅時期の年表が壁に描かれていたのが笑えない現実だった。
科学技術が発達した現代では必ずしも人口の大小が国力を表すものではないかもしれないが将来を担う若い人間が少ないということは未来の発展にマイナスであることはやはり間違いないはずだ。この先日本が将来に渡って世界に影響力を持ち続けるためには若年層を厚くすることが必要だ。日本で暮らしたいと思う外国人は少なくないとはずなのでいっそのこと欧米豪のような移民国家となり若い移民を奨励するという手もあるが、大和民族の純血にこだわるならば日本人の子供を生んで育てることにフォーカスした政策が必要だろう。
婚外子を認めて財力も精力もある人間がどんどん子供を持てるようにしたり、子供を育てたり学校に上げることが負担ではなく逆に報奨に結びつくような制度を作ったり。そのために必要な原資も企業資産や個人資産などを含め日本には大量に滞留しているはず、と、、過激な対策であればいくらか思いつく。だがそれをやるには法治国家・民主主義国家の限界がある。
「大和民族が日本国が未来永劫に渡って存続繁栄することを願うか?」と問われればほとんどの日本人は首を縦に振るだろう。だがそれをやるための政策が自分個人の利益を損なう場合にはなかなか賛成しないのである。だから”変わるはずがない”と多くの人が感じている。そんな根っこの部分の諦めが今の国内の雰囲気に暗い影を落としているように思える。