「長期積立ファンド」はファンドラップまたはセービングプランと呼ばれる海外の投資会社(プロバイダー)が運営している運用商品である。海外において主に個人年金商品として利用されているものだ。

長期積立ファンドの運用方法

世界には日本のような公的年金制度のない国は少なくない。そういう国に暮らしている人は老後を国の制度の頼ることができないのでこうした民間の投資商品を利用して引退後の生活資金を自分で作るのである。

月々少額の資金を銀行口座からの自動送金あるいはクレジットカードから引き落としで投資する。長期積立ファンドのプラットフォーム上には世界各地の株式、債券、商品や不動産などのテーマに投資されたファンド(投資信託)が100種類以上用意されていて、契約者はそこから10種類程度の自分の投資目的に合致したファンドを組み合わせてポートフォリオを作る。

毎月引き落とされた資金はそのポートフォリオに振り分けられたパーセンテージに応じて投資され、長期に渡って運用されてゆく。ポートフォリオは変更(スイッチング)が可能なので景気動向や世界情勢をにらみながら構成銘柄を随時入れ替えてその時々に最適な運用効果を狙ってゆくことができる。

自分は投資にあまり詳しくない、あるいは本業が多忙でファンド銘柄を逐一チェックしている暇がないという人のために運用のプロが組んだポートフォリオを利用できる一任勘定サービスもある。

公的年金と長期積立の違い

年金商品としての長期積立ファンドが公的年金と違う点にはまず強制加入ではなくすべて自分の意思で利用するかどうかを決めるということがある。民間企業の運営している商品なので証券会社で株式の取引をしたり、保険会社で生命保険を契約したりするのと同じでそれを利用するかどうか、またどう運用してゆくかは個人の自由である。それだけに高度な自主性が求められるという側面はある。

運用に関しての関心の違い

公的年金の場合は良くも悪くも自分の意思とは関係なく適用されてゆくのでそれにあまり関心を持たない人も多い。自分が現役の間は毎月いくばくかのお金が国が定めた割合で給料から天引きされてゆき、引退して一定の年齢になればこれまた国が定めた金額が支給される。

いくら支払ってそれをどのように運用していくら受け取るかということにおいて自分の意思や希望を反映させる余地はない。たとえ平均寿命まで年金を受け取ったとして自分が支払った年金保険料の総額を取り戻すことができないとしてもそれを黙って受け入れるしかない。

民間の年金商品を利用する場合は違う。長期積立ファンドなどの個人年金を利用するかどうかは個人の自由である。なのでもちろん高齢者になったときに老後の生活資金を充分に持っている人とそうでない人が出てくる。運用をするときもどれぐらいの金額をどれぐらいの期間に渡って投じてゆくのか、また将来どれぐらいの金額を作りたいのかということを自分で調整することになる。運用中の資金の取り扱いも柔軟である。

積立資金利用の柔軟性

毎月投じる資金の金額は増額したり、減額したりという具合に金額の調整が可能だ。また手元にまとまった資金ができたときにそれを一括で運用資産に投入することもできる。年金商品は20年とか25年という長いスパンで運用をしてゆくものである。その間には結婚したり、子供ができて学費がかかるようになったり、転職したり、大きなボーナスが出たり、はたまたビジネスを成功させたりということがあったりして家計の状況も変化する。その状況の変化に合わせてその時々で投じる資金を調整することができることができるのだ。

一方、長期積立ファンドは資金を投じるだけでなく運用途中でお金を引き出すことも可能。長い人生の間には思わぬ出費が発生して急いで現金が必要になることもある。そんなときに必要な資金を運用資産から引き出して使うことができるのだ。つまり老後資金を作るための資産運用商品でありながら、必要なときにはその資金を途中で使うこともできる、ある意味銀行のような機能を備えているといえる。こうしたことは公的年金には望むべくもない側面であると言えるだろう。

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