7月某日半年ぶりに大阪在住のスタッフNが香港にやってきた。

5月に開催した「HSBC香港口座開設&海外資産運用勉強会・座談会」の際にHSBC香港のATMカードが6か月間使用していないと使えなくなるのではないか、という話題が出た。少しドキッとした。というのも、最近ちょうど同じような噂を耳にしていたからだ。我々の方でおこなっているアフターサポートサービス、「HSBC香港年間サポート会員」のメンバーの方から問い合わせがあったのだ。

HSBC香港口座は残額に動きのない状態で2年間放置していると口座が凍結されるというルールがある。凍結されても口座内のお金はあくまで自分のものであることには代わりはないが送金や出金ができなくなる。この凍結状態を解除するには香港の窓口を訪れる必要がある。

2年間というのは意外に短いもので毎年少なからずの人が凍結状態になって解除のために香港に手続きに来ている。その2年間がもし半年に短縮されたとしたら凍結状態になる人の数が爆発的に増えるのは火を見るより明らかだ。すぐさまカスタマーサービスへ電話で確認した。ところが回答はこれまで通り2年間不使用が凍結の条件だった。

そんなことがあった矢先また同じ話を聴いたというわけだ。先日のカスタマーサービススタッフの間違いもありうる、というか実際間違った情報を聴いたことは一度ならずある。これから規定が変わる段階で情報が内部のスタッフにも浸透していない可能性もある。

”実際に半年間ATMカードを使っていない人に検証してもらうのが一番だが。。”と考えていたところ、たまたまスタッフNが前回HSBC香港のATMカードを使ってから約5ヶ月経っているのがわかった。彼女はインターネットバンキングはときどき利用しているが、日本で出金する必要がなかったのでATMカードは使用していなかった。

ちょうど香港に来る時期辺りが前回ATMカードを使用してから6ヶ月を過ぎる頃である。万一凍結されたとしてもちょうど香港に来るタイミングなので窓口に駆け込んで凍結解除もできる。6ヶ月以上不使用の状態で口座が凍結されるかどうかを検証をしたいという僕の頼みをスタッフNは快く引き受けてくれ、故意にATMカードを使用しないまま香港に来てくれた。

ちなみにスタッフNも「HSBC香港サポート会員」である。会員になるには年会費を支払う方法と長期積立ファンドを利用する方法があるが、彼女はスタッフとして加入する前に後者の立場でメンバーになっている。香港に到着して少しドキドキながらATMに向かう。無事に現金を出金することができた。香港のATMでの検証ではあるが、「6か月放置すると使えなくなる」という懸念は現時点では解消されたかたちだ。ただ火のないところに煙は立たないということもあるので今後の動向は注視が必要だ。

もうひとつ今回改めて興味深く思ったのは日本人の語学力の特性である。今回スタッフNが窓口で日本円でJPY100,000の入金をした。そのときに「Deposit ten thousands」と言っているのを訊いて、とっさに横から「Deposit one hundred thousands」と正した場面があった。彼女の英語が充分高いレベルにあるのは普段の業務で常に香港人担当者との英文でのメールのやり取りを見ている僕にはよくわかる。ところがその彼女にしてもついついこうした初歩的な間違いをしてしまう。

10万円という数字がついつい「Ten」と結びついてしまうのかもしれない、日本人にはよくあることだ。ところがこうした数字の間違いは口座開設のときには結構厄介な事態につながりかねない。こちらからすれば慣れない言語でのちょっとした言い間違いでも、英語を普通に話す人からすると一桁違ってくるのである。

日本人だって1万円の商品を買って10万円請求されたら驚くはずだ。口座開設のときにそういう間違いがあると銀行の担当者は”たったそれだけの金額を預けるために海外に銀行口座を作る意味あるの?”と思って、より厳しい突っ込みが来るケースが少なくない。結果より複雑な会話に発展するタネを蒔いてしまう。読み書きに極端に偏重した英語教育の中で育った日本人の英語の理解力は決して低くない、というか筆談でもさせれば流暢な英語を話す多くの国の人よりスペルや文法等々はずっと正確なはずだ。ところが会話となると途端に子供のような間違いを犯すレベルになってしまう。日本の英語教育のバランスの悪さの弊害は大きい。。

ちなみに英語で数字を言うときは頭の中でその数字を一度描くとわかりやすい。1〜999までを英語でしっかり言うことができれば、あとはコンマ(,)のところで以下の表現を挿入すれば良いだけだ。

,000(thousands)
,000,000(million)
,000,000,000(billion)

例えば240,000ならば「two hundreds forty(240)thousands(,000)」だ。
123,456,789ならば「one hundred twenty three million four hundreds fifty six thousands seven hundreds eighty nine」である。

こうしてみるとつくづく日本語の「万」という単位は英語にするときの混乱のもとだな。。

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