2017年からのCRS(共通報告基準)による、銀行口座・証券口座情報の交換システムの稼働開始により新たなオフショアとして欧米人、中国人、香港人などの間で注目が集まっているのが「台湾」だ。

台湾OIU(オフショア・インシュランス・ユニット)

「FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)」という独自の金融口座情報報告規定を持っているアメリカを除く多くの国家が加盟している。ひと頃タックスヘイブンとして名を馳せたイギリス領ヴァージン諸島やバミューダ、ケイマン、ジャージー、ルクセンブルグなどの地域を含む100カ国以上の国や植民地ももちろん加盟している。

だが台湾は独立国でもなく、カリブの島々のような植民地でもなく、香港のような特別行政区のようなものでもない。その微妙な立ち位置がエアポケットのような不思議な空間に台湾を落とし込んでいる。

海外の投資家の注目をにわかに集めているのは「OIU(オフショア・インシュランス・ユニット)」という商品である。台湾中央銀行の外国為替管理規制対象外であり、台湾での外国為替収支報告、あるいは取引申告が免除されている。また台湾保険法の規制対象外なので台湾における納税も免除されている。従って台湾人や台湾非居住者は契約者としても被保険者としてもこのプランに申し込むことができない。

その対象外の外国人は台湾を訪れることなく郵送で申し込みができる。1歳以上80歳以下の人が契約者となって申し込みが可能でプラン満期は110歳。1〜6歳の人の契約書の署名は両親などの後見人が行い、7〜20歳までの未成年が契約者になる場合は契約者本人と後見人の両方の署名が必要。

保険料の支払い通貨はUSDの一種類。支払い方法は年払いのみで前納することはできない。支払い回数によって一括払いプラン、3年払いプラン、6年払いプランの3種類があり、利回りは2〜2.5%の最低限の確定利回りと運用パフォーマンスによって配当のように上乗せされる非確定部分の利回りがある。現行ではトータルで3.8%程度の実質利回りで回っているとのこと。拠出保険料によって保険料の割引制度もある。

台湾OIU(オフショア・インシュランス・ユニット)の商品内容

各プランの最低保険料、契約可能年齢、確定利回り、保険料割引は以下の通り。

一括払いプラン

最低保険料:US$10,000
契約可能年齢:0~80歳
確定利回り:2%

保険料割引:
USD20,000〜USD35,999:0.2%
USD36,000〜USD35,000:0.3%
USD60,000〜:0.5%

3年払いプラン

最低保険料:US$5,000x3年
契約可能年齢:0~77歳
確定利回り:2%

保険料割引:
USD15,000〜USD29,999:1%
USD30,000〜:2%

6年払いプラン

最低保険料:US$5,000x6年
契約可能年齢:0~74歳
確定利回り:2.5%

保険料割引:
USD40,000〜USD79,999:1%
USD80,000〜USD349,999:2%
USD350,000〜:2.5%

死亡保障・高度障害保障

プラン解約前に死亡もしくは高度障害を負った場合、
払込期間内:プラン開始時の死亡保障額または払込保険料X1.03の高い方
払込期間後:プラン開始時の死亡保障額、死亡時の死亡保障額または払込保険料X1.03の高い方
の保障が得られる。

保険料の支払方法

保険料の支払いには台湾非居住者向け銀行口座(OBU)を開設し、その口座を通じて引き落としをすることが可能。その場合はOBUが開設可能な富邦銀行、永豊銀行、第一銀行、華南銀行、あるいはスタンダード・チャータード銀行の口座を開設し、自動引落申請書を提出することになる。

0
2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

メール講座【国境なき投資戦略】

* 入力必須