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「海外移住」

このブログで発信をはじめた当初より、資産運用やライフプランニングを考えるうえで重要な選択肢として位置づけている。日本は属地主義の税制を採っていて、きちんとした居住資格を持ったうえで一年の半分以上を別の国で暮せば、そちらで納税することになる。アジアでは随一の先進国で生活水準が高く、様々なインフラが整っていて暮らしやすい、海洋領土も含めたら物理的にもかなり広い国である日本だが、それだけに税金も割と高めである。日本よりも税負担の軽い国は多く、そうした国に移住すれば、仮に同じ収入であれば手取り金額が多くなる。手元に多く残った部分を地道に運用すれば、10数年後には大きな差が出てくる。

日本人にとっての海外移住

また、別の国に居住権を持っていつでもそちらにゆける状態を作っておくのはセキュリティの面でも意義が大きい。現在、ロシアやウクライナ、イスラエル、レバノンなどで紛争が起こっているが、そこに北朝鮮が入ってきたり、背後では欧米やイランなどがせめぎ合っていたり、アメリカをはじめとした主要国がいろんなことで忙しく手薄になっている間に中国と台湾も心配である。いつ何時何が起こるかはいつの時代にもわからないが、自分の国や近所で何か起こったときに避難できる場所を確保しておくに越したことはない。

まあ、そうは言っても実際に日本人で海外移住をする人は割合的に多くはない。30年以上も経済成長が止まっていても、政治資金がどうのこうのと文句は言っていても、国民は日本が他のほとんどの国に比べればかなり良い方であることを知っており、祖国で暮らすことに不満は少ないのだと思う。

高くなる海外移住のハードル

一方で香港で僕の近所にいる人たち、つまり中国人には海外移住に対する需要はとても高い。我々日本人にはわからない不安や怯えのようなものもあるのだろう。そんなこんなで、こちらでは知り合いの誰々が今どこの国に移住申請をしているというのは日常よく聞く話であるが、人口の多い中国人が豊かになり、盛んに海外の居住権取得に動いているためだろうか、受け入れ側の方でキャパシティを超えはじめているように思える。多くはある程度の金額をその国に投資することと引き換えに居住権を渡す「投資移民ビザ」が利用されているのだが、近年相次いで移住に必要な投資額が引き上げられたり、場所によっては受け入れを停止したりする国が相次いでいる。

移住先諸国の移住要件の変遷

香港ではCIESという投資移民ビザが復活したが、必要な投資額はHKD3000万である。これは現レートで換算すると約6億円ということになる。普通の人にはなかなか手の出ない金額だ。2003年にCIESが登場したときの要求投資額はHKD650万だったが、それが2010年にHKD1000万に引き上げられ、2015年に一旦受け入れが停止されたものの、2024年に再登場したときにHKD3000万となったのだ。

仮に核戦争が起こっても主戦場になると予測される北半球の大陸から距離のある先進国であるオーストラリアはAUD250万(約2億5,000万円)とニュージーランドはNZD500万(約4億5,000万円)だ。オーストラリア投資移民の投資額はかつてAUD75万だったが、それが2倍のAUD150万に引き上げられ、2021年に再度AUD250万に変更されている。ニュージーランドも2010年頃はNZD150万だった。

ここ10年ほど中国人に大人気なのはEU諸国への投資移民。もちろん日本人も申請は可能だ。

スペイン:EUR 500,000
ポルトガル:EUR 350,000
ギリシャ:EUR 250,000〜EUR 500,000
マルタ EUR 150,000
アイルランド:EUR 1,000,000

一番安いマルタで約2,500万円、一番高いアイルランドでも約1億6,000万円と上記の国よりは随分ハードルが低い。民主国家の先進国というのも人気の要因であると思われる。しかしポルトガルはすでに新規の投資移民ビザの発行を停止、スペインもそれに続くと言われている。投資移民による経済効果は甘美だが、増えすぎて本来の国民との摩擦が起こるのも大きな懸念材料なのだろう。

アジアで投資移民に永住権を発給しているのはシンガポールでSGD250万(約2億9,000万円)中国から近く、中国語も通じるという点で中国人に人気が高いがそれだけに投資金額は高めだ。永住権ではなく、長期滞在ビザでも良いのであればハードルはグッと下がる。

タイ王国:THB600,000(約JPY3,300,000)
フィリピン:USD20,000(約JPY3,000,000)
マレーシア:MYR1,000,000(約JPY35,000,000)
ドバイ:AED1,000,000(約JPY40,000,000)

先に割合的には多くないとは述べたが、ほぼ無税のドバイは日本人富裕層に人気が高く、ドバイに移住したという話は日本でもよく聞く。日本人にも人気の高いという意味では一時期僕の周りでもかなり申請者の多かったのがマレーシアのMM2Hビザ。しかしこのMM2HもかつてMYR30万の定期預金が条件だったが、今はMYR100万(約3,500万円)に改められている。

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