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「IR推進法案」

はカジノを中心に宿泊施設や国際会議場、テーマパーク、ショッピングセンター、劇場や映画館、レストラン、スポーツ施設等を一体的に備えた統合リゾート(Integrated Resort)の開発を推進するための法律。これまで日本では禁じられていたカジノの解禁ということで治安の悪化やギャンブル依存症の人が続出することなどを心配する向きがあり反対意見も多かったが2016年12月に公布、施行された。IR施設は1990年代からシンガポール、韓国、オーストラリアなどで盛んに開発され、観光客の誘致に成功してきた。

 

IR推進法案

IR推進法案は別名カジノ法案とも呼ばれるのでその目的で来日する観光客を当てにしているようにも見えるが、MICEと呼ばれる商用観光客を誘致するための側面もある。

MICEはMeeting(会議)、
Incentive Tour(報奨旅行)、
Conference(学会や国際会議)、
Exhibition(展示会)を指す。

それ自体に参加する訪問客の数量もさることながら毎年相当数の関連イベントが開かれるということは国際的地位の高さを示すことになり、様々な波及効果が見込めるのである。しかしどちらかと言うとこうしたお堅いイベントは大掛かりな施設が必要になるにもかかわらず収益性は低く維持するのはなかなか苦労する。

カジノ収益の爆発力

そこで収益性の高いカジノを施設に盛り込むことにより全体のバランスを取る。有名なIRであるシンガポールのマリナベイサンズではカジノが占める床面積は全施設のわずか5%にもかかわらず利益の大半を生み出しているという。カジノ運営が可能な地域で最も高い売上を誇っているのはマカオで年間のカジノ売上高は4兆円を超えている。

マカオの面積は東京の中央区と港区を合わせたぐらいだが年間3,500万人の観光客が訪れる。2018年の日本全体の海外からの訪問者数が約3,100万人なので世界の旅行業界におけるマカオの凄まじさがわかる。マカオでIR施設を建設するコストはだいたいUSD30億(約3,300億円)位かかるがホテルの稼働率は90%を超え、カジノの収益と合わせて1年程度で投資を回収して黒字になると言う。しかしマカオはMICEの需要はそれほど高くなくどちらかというとカジノと娯楽産業専門という感がある。日本のIRが目指すモデルにもっとも近いのはシンガポールだと言われるがそのカジノ売上は約60億ドル(約6,600億円)である。

日本のカジノ候補地

シンガポールは東京23区を合わせたぐらいの面積。日本ではIR特区を3ヶ所作る予定だと言われる。それがどこになるのかというのはまだわからないが現時点では首都圏、関西圏、それ以外の地方に1つずつ作られるという案が有力だ。

首都圏の候補地は、

東京(お台場)、千葉(幕張新都心)、神奈川(横浜山下埠頭)

関西圏では、

大坂(夢洲)、和歌山(マリーナシティ)

その他地方では、

北海道(苫小牧)、長崎(佐世保)、沖縄(美ら海、海洋博公園)

このうち2025年に万博が行われる大阪はその中でも最も可能性が高い場所だと言われている。逆に初期の有力候補であった沖縄は最近カジノ誘致に消極的になっており、政府へ「IRを誘致しない」という回答をしている。試算では3ヶ所で1兆9,800億円の経済波及効果があると言い、これはシンガポールのIR地区3個分の金額的にも合致する。

実際にIRが可動するのは2025年以降になるはずだが現在3,100万人の訪日外国人数は来年2020年オリンピックイヤーには4,000万人を見込み、政府目標では2030年に6,000万人を目指すと言う。

その中核にこのIR開発があるのは間違いあるまい。

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