アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は2021年7月14日の議会証言でアメリカ経済は資産購入の縮小(テーパリング)を開始できるだけの進展をまだ見せていないと、先月のFOMCから一転してハト派寄りの見方を示した。ちなみに米国の金融政策においてタカ派とは「物価の安定を重視」する人たちであり、ハト派とは「景気を重視する」人たちのことを言う。
景気が良くなれば物価が上がってインフレが起こりやすくなるのでテーパリングをおこなったり、金利を引き上げたりする必要が出てくる。これがタカ派の考え方。一方で経済が不調なときは景気刺激策として金融緩和や利下げが実行される。このときに元気が良いのがハト派ということになる。
FOMCのタカ派とハト派
先月16日のFOMC会合のあと、パウエル議長の発言では資産買い入れを終了する方向で議論を始めること、そして2023年には1回もしくは2回の利上げがあると予測する理事が大勢を占めたということが語られた。しかし今回はまだテーパリングを始めるのは早い、となった。
米国株が上昇を続けている。2021年7月12日には終値ベースで、
NYダウ:34,996.18
ナスダック:14,733.24
S&P500:4,384.63
と揃って史上最高値を記録した。
S&P500指数とは
この中のS&P500は1957年にアメリカの格付け会社であるスタンダード&プアーズが創設した米国株式の指数だ。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、ナスダックに上場している企業の中から代表的な500社を選出し、その銘柄の時価総額を加重平均して算出している。基準は1941年〜1943年の平均指数を10として規模の成長を測るかたちになる。
S&P500は時価総額が131億ドル以上の米国企業で浮動株が発行済株式総数の50%以上あり4四半期連続で利益を上げていること、株式の流動性が高いことを条件に時々組入銘柄の入れ替えがおこなわれており、常にアメリカの経済を牽引する主要企業で構成されている。
現在のS&P500の組入上位の10銘柄は以下の通りである。
アップル:5.96%
マイクロソフト:5.54%
アマゾン:4.10%
フェイスブック:2.08%
アルファベット class A:1.93%
アルファベット class C:1.87%
テスラ:1.60%
バークシャーハサウェイ:1.46%
JPモルガン:1.32%
ジョンソン&ジョンソン:1.20%
ナスダックのGAFAから長らく米国経済を支えてきたNYSEに上場する従来型の企業まで横断しており、まさに米国の株式市場の現状を把握するには最も適している指数であると言える。
S&P500の歴史的推移
S&P500指数が1,000に達したのは1998年2月のことである。そして2,000に乗せたのは2014年8月。2倍になるのに約16年かかったことになる。はじめて3,000を超えたのは2019年7月。4,000を超えたのは今年2021年2月のこと、2,000から倍になるまでにかかった時間はわずか5年半だった。
そもそもS&P500に投資するようなインデックス投資というのは個別株式のように破綻や倒産などで紙くずになることのない安全な運用方法である。それが5年余りで2倍になるというのはちょっと異常である。逆を言えばS&P500のような資産に対して現金の価値の下落がそれほど激しいということだろう。
これはある意味仕方のないことなのかもしれない。13年前の世界同時金融危機により大規模な金融緩和(QE)とゼロ金利を採用して市中に現金を溢れさせた。ようやく経済が落ち着き政策金利が上昇基調にあったのは2015年から約5年間、そして今度は新型コロナのパンデミックで再び現金をばらまく世の中がきた。明らかに引き締めに対して緩和の機運が強いような気がする。
今後も何か別の危機が起こる度に生活に窮する貧困層を救済するためにハト派的な金融政策が採られることだろう。しかしそのマネーは潤沢な資金を持った富裕層にも流れ、金融市場に行き着き資産価値を押し上げる。そして相対的に現金の価値は下落してゆく。おそらくその方が最大公約数として人類全体にとって快適なのかもしれない。ただ手元の現金に少しでも余裕があるのであれば、それは少しずつでも金融資産に変えておいた方が賢明だ。
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「S&P500 Index」は毎月の少しずつ資金を積み立て、元本を確保しながらS&P500と同様のパフォーマンスを得られる商品である。
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投資期間:10年、15年、20年から選択
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・S&P500に連動したファンドにドルコスト平均法で投資する
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