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相場の状態は大きくリスクオン(強気)とリスクオフ(弱気)に分類することができる。

リスクオンというのは投資家の心理がリスクの高い資産への投資志向を高めているという状態。経済の見通しが明るく、多くの人が大きな利益を求めてイケイケ状態で積極的にハイリスクハイリターンの投資に勤しんでいるというタイミングだ。逆にリスクオフというのは投資家の心理がリスクを避けて守りに入っている状態だ。不況による景気の悪化や戦争や天災などが発生して危機的状況にあるときということになる。

リスクオンとリスクオフ

リスクオンのときに好まれる資産は以下の通り。

・株式
・ジャンク債などの高金利債券
・為替:トルコリラ・南アランドなどの高金利新興国通貨、ポンド・オーストラリアドルなどの資源国通貨
・商品先物:ゴールド以外の銘柄

リスクオフのときに好まれる資産は以下の通り。

・格付けの高い国債や社債
・為替:日本円、スイスフラン、米ドル
・商品先物:ゴールド

世の中には時折予測不能な突発的出来事が発生し金融市場は混乱し、乱高下が発生するケースがある。

重大事件と日本円為替

日本でのバブル崩壊後の30年間でも1995年の阪神淡路大震災、2001年のアメリカ同時多発テロ事件、2008年のリーマンショック・世界同時株安、2011年の東日本大震災そして2020年の新型コロナパンデミック発生。こうした天災や大事件が起こった時、リスクオフとなり高い確率で株価が暴落する。

一方で安全度の高い債券やゴールド、信用の高い通貨が買われることになる。

そんなリスクオフ時に人気を集める資産のうち、我々日本人に最も身近でわかりやすく、扱いやすい資産が日本円であるのは間違いない。すなわちこうした危機が発生する時は円高になる傾向があるということに着目するのは有用だ。

阪神淡路大震災、1995年の地震発生時にはUSD1=JPY100前後だったが徐々に円高が進んでゆき、3月頃から拍車がかかり4月19日には当時の最高値であるUSD1=JPY79を付けている。4ヶ月かけて20%下落したことになる。

同時多発テロのときはそれが発生した2001年9月11日から12日にかけて世界の株式市場が大幅下落、その後テロの影響で米国株式市場が4日間の閉鎖後、再開した9月17日にNYダウが684.81ドル、当時の水準で対して7%という暴落を演じた。

日本円はテロ発生時の水準が121円台後半でその10日後の9月21日に116円台後半を付けたので約5円、4%程度と特に暴落というわけではないが円高方向へ振れていた。

2008年9月に発生したリーマンショックのときは110円台か4ヶ月後の12月には87円台まで円高が進んだ、こちらは20%級の円高となっている。

2011年3月11日の東日本大震災発生時USD1=JPY81〜83の水準で推移していた日本円は地震発生の一報とともに上昇を続け、週をまたいだ3月17日には戦後最高値となるJPY76.25を記録した。

2020年2月頃、中国の武漢で猛威を奮っていた新型コロナ流行の世界への広がりが認識されたときUSD1=JPY112だったドル円の為替レートは2月下旬から3月上旬までに103円台まで急騰した。こうしたサプライズを含んだ大きな出来事による変動はプロもアルゴリズムもなかなかついて行きにくい。逆を言えば素人と海千山千の玄人が平等に近い条件に陥る一瞬でもある。

今はネットで手軽に素早く取引できる証券会社やFXブローカーへのアクセスも容易なので突発的に発生する急激な円高や株安を狙って一攫千金を狙うことは多くの人にとって手の届く距離に来ている。一方でやはり相場に慣れていない人がこうした利益を一旦獲得しても経験不足から適切なところでエグジットできずに逆に大きな損を抱えてしまうこともある。

乱高下のスピード化

上記の例を見ても感じられるように大きなリスクオフ発生から収束までの時間は最近かなり短くなってきている。実際、2020年のコロナ相場の急騰で103円台を付けた日本円は同じ月の3月下旬には110円台に戻っている。技術の発達によりスピードが上がったというのもあるだろう。その段になるとやはり普段から相場に向き合っているプロやアルゴリズムが強みを発揮してくる。

チャンスはあってもそれを活かした上できちんと結果に結び付けられるかどうかはまた別の高いハードルがあるというこだ。そういう意味ではやはり素人が最もプロと差を縮められる手法は投資は高値も安値もまんべんなく取り入れて自動的に平均的パフォーマンスを得ることのできる長期積立投資かもしれない。

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2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

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