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コロナ流行による不況対策として世界各国でゼロ金利や利下げ、そして量的緩和で通貨供給量は増加の一途をたどっている。供給が増えれば価値が下がる。農作物が豊作であれば、魚が大漁であれば、製品の生産が過剰であればその価格は下がる。その原理は通貨(マネー)であっても同じこと。

通貨の価値が下がればどうなるか?例えばコカ・コーラの1.5L入りペットボトルが320円→340円になったり、すき家の特盛牛丼が580円→630円になる。つまり額面の数字が大きくなるのだ。通常我々はこれを物価が上がったと感じるが、どちらかというと自分の持っているお金の価値が下がったと考える方が良い。少し前の580円は特盛牛丼が食べられる価値があったのに今の580円にその価値はないのだから。。

資産防衛が必要な時代

さて今世界中で株価が上昇している。コロナ禍で多くの企業の業績は悪化している中、通常であれば株が上がるのは変だ。これもすなわち株式の価値が上昇しているのではなくその尺度となる現金の価値が下がっている、だから金額が大きくなっていると考えるのが妥当。今はすでに現金を銀行に退蔵しておくべきではなく、なんらかの運用をしてはじめて資産価値の目減りを防ぐことができる段階に入っていると言える。

サンライフ社の貯蓄商品ヴィジョンとヴィクトリーの比較

2019年から2020年にかけて相次いで販売が開始された”頭文字V”のサンライフ貯蓄商品。

・ヴィジョン(Vision)
・ヴィクトリー(Victory)
・ヴィーナス(Venus)

この内ヴィーナスについては最低投資額がUSD250,000と比較的高ハードルということもあり、ヴィジョンとヴィクトリーのどちらかを検討するケースが多い。以下にこれら2商品の比較ポイントをまとめてみる。

1.リターンの構造

ヴィジョンとヴィクトリーの
最大にして最も重要な違いである。

通常こうした貯蓄商品のリターンは
運用成績に関わらず必ず支給される確定部分(Guraranteed)と
運用成績に連動して変動する非確定部分(Non-Guaranteed)という
2つの層に分かれている。

ヴィクトリーの確定部分は
キャッシュバリュー(Cash Value)という1種類のみ、
非確定部分は運用途中で出金のできるリバーショナリーボーナス(Reversionary Bonus)と
途中出金のできないターミナルボーナス(Terminal Bonus)という
2種類、合計3種類で構成されている。

ヴィジョンの確定部分は
キャッシュバリューの他に2.3%/年の利息である
確定マンスリークーポン(Guaranteed Monthly Coupon)という2種類、
非確定部分はリバーショナリーボーナスとターミナルボーナスの他に
非確定のマンスリークーポンという3種類があり、
合計で5種類となっている。

ヴィクトリーがシンプルで
ヴィジョンは比較的複雑な構成になっていると言える。

2.運用方針

ヴィジョンは運用資産のうち
50~70%を債券(Fixed Income)、
残りは株式等(Non Fixed Income)で運用される。

一方ヴィクトリーは25%〜80%を債券、
残りが株式等で運用されることになっている。

25%〜80%の幅で債券と株式の
バランスを調整するヴィクトリーは
臨機応変な運用をおこなえる柔軟なポートフォリオであり、
常に50%以上を債券で運用するヴィジョンは
より保守的なポートフォリオであると言える。

3.その他細部の違い

・ヴィジョンには2年払いがあるが、
 ヴィクトリーにはない(一括で前納することは双方可能)

・ヴィジョンもヴィクトリーも
 被保険者の名義変更が無制限に可能で
 被保険者が120歳になるまで運用が可能だが、
 ヴィジョンは最長でも契約から120年後に満期が来る。
 ヴィクトリーは理論上永久にプランを継続することができる。

・プランを継続したまま途中出金できる範囲はヴィジョンの方が大きい

ヴィジョン(Vision)の概要

[被保険者年齢]
2年払いプラン:0〜80歳
5年払いプラン:0〜70歳
10年払いプラン:0〜65歳

[支払期間]
一括払い、2年払い、5年払い、10年払い
※一括払いの場合2年分の保険料を前納という形態

[満期償還]
満期償還:契約してから120年目か、被保険者が120歳になる年度

ヴィジョン(Vision)の運用例

プラン名:Sun Life VISION
加入時年齢:40歳
保険料支払期間:5年払い
支払い方法:年払い

想定元本(保険金額):USD100,000
年間保険料:USD20,000/年
5年間払込保険料:USD100,000

20年後解約返戻金:USD183,302(返戻率183%)
25年後解約返戻金:USD243,270 (返戻率243%)
30年後解約返戻金:USD320,198 (返戻率320%)
50年後解約返戻金:USD822,141(返戻率822%)
※解約返戻金はいずれも非確定部分を含む概算

日本円での運用イメージ

40歳支払開始5年払いのプランを70歳時に解約、引き出し、死亡した場合の受取金額

・40歳から44歳までの5年間、約220万円/年(5年間で約1,100万円)の保険料を支払う。

・70歳時に解約すれば3,522万円の解約返戻金が受け取れる。

・70歳時に解約をせずにマンスリークーポン及びリバーショナリーボーナス分、1,971万円を出金してプランを継続することも可能。

・もし70歳時に亡くなった場合、3,522万円が受取人に支払われる。

※約USD1=JPY110で換算
※解約返戻金、マンスリークーポン、リバーショナリーボーナス、死亡保障は非確定部分を含む概算金額

ヴィクトリー(Victory)の概要

[被保険者年齢]
5年払いプラン:0〜70歳
5年プラン全期前納の場合(Value Enhancer):0〜80歳
10年払いプラン:0〜65歳

[支払期間]
一括払い、5年払い、10年払い
※一括払いの場合5年分の保険料を前納という形態

[満期償還]
満期償還:被保険者が120歳になる年度

ヴィクトリー(Victory)の運用例

プラン名:Sun Life VICTORY
加入時年齢:40歳
保険料支払期間:5年払い
支払い方法:年払い

想定元本(保険金額):USD100,000
年間保険料:USD20,000/年
5年間払込保険料:USD100,000

20年後解約返戻金:USD241,653(返戻率242%)
25年後解約返戻金:USD335,816 (返戻率336%)
30年後解約返戻金:USD471,112 (返戻率471%)
50年後解約返戻金:USD1,818,690(返戻率1819%)
※解約返戻金はいずれも非確定部分を含む概算

日本円での運用イメージ

40歳支払開始5年払いのプランを70歳時に解約、引き出し、死亡した場合の受取金額

・40歳から44歳までの5年間、約220万円/年(5年間で約1,100万円)の保険料を支払う。

・70歳時に解約すれば5,182万円の解約返戻金が受け取れる。

・70歳時に解約をせずにリバーショナリーボーナス分、707万円を出金してプランを継続することも可能。

・もし70歳時に亡くなった場合、 5,182万円が受取人に支払われる。

※約USD1=JPY110で換算
※解約返戻金、リバーショナリーボーナス、死亡保障は非確定部分を含む概算金額

まとめ

ヴィジョンは世の中がまだ利上げの傾向にあった2019年の販売開始。毎年2.3%の固定金利の保証(マンスリークーポン)があるのは当時の金利水準を反映してのことである。

その後、予期せず発生した新型コロナウィルスの流行と経済への悪影響により一転利下げとなったので運営会社のサンライフとしてはVisionの運用するリスクマネジメントの点で不利(契約者には有利)になっていると考えられる。おそらく現在ヴィジョンのポートフォリオは債券は運用ルール下限の50%に抑えてできるだけ多くの株式などリスク資産の組入れを増やしているのではないだろうか。

一方でヴィクトリーの販売開始は2020年7月。この市況で最大80%まで株式等リスク資産を組み入れられるヴィクトリーは順調に資産を増大させているのは間違いない。世界各国がこのまま今後も景気対策のために緩和を続けて、金融市場の上昇が続くと見ているのであればヴィクトリー。もし将来の市況に一抹の不安を感じていて、ある程度リターンが制限されてもそのリスクを回避して確実に積み上げたいと考えるのであればヴィジョン。そんなイメージで捉えると良いだろう。

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