日本には「創業融資」という制度がある。ゼロの状態から自分で事業を始めるときに日本政策金融公庫や自治体が創業資金を貸してくれる制度である。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫によると「創業融資」を獲得できるのは、

(ア)現在の企業に継続して6年以上勤務した人

(イ)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上勤務した人

(ウ)大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方でその職種と密接に関連した業種の事業を始める人

と規定されている。

すべての人が利用可能というわけではないが多くの人に平等に開かれてる門戸である。事業資金の融資は基本的に既存事業であげた実績やあるいは返済が滞ったときに代わりに差し出せる担保などがなければ利用することはできない。これは世界共通の常識である。ところが日本には「実績も担保もない、だけど事業プランとやる気はある」という人にも資金を貸してくれる制度があるということ。

世界でも珍しい日本の創業融資制度

すでにこの創業融資を利用している人もこの存在自体を知らない人も知っているけど利用していない人もいるだろうが、海外の人の目から見ればこれは日本居住者が持つ驚きの特権である。

実績ゼロの起業家に政府が事業資金を貸してくれる(しかもかなりの低利率で)ような制度は僕が良く知っている中国やアジア諸国には見当たらない。もし中国に同じような制度があればすぐに夥しい数の人々が殺到して取り付け騒ぎにようになるに違いない。逆を言えば日本人は融資や借金の返済に対して非常に真摯で慎重であるが故に成り立つ制度かもしれない。

いずれにしてもこれは日本居住者が持っている世界でも稀有なメリットである。以前に何度か、多くの国をビザの申請なしで訪問できる日本のパスポートは最強であり、日本人が持つ特権であると述べたことがあるが創業融資制度はそれと並ぶぐらいの強力な優位点である。

創業融資における2つのポイント

ところでこの創業融資には2つの大きな特徴がある。

一つ目は経済状況によって融資獲得の難易度が変わってくること。二つ目は申請の仕方によって融資の金額が違ってくることだ。

一つ目はマクロ経済的な要因である。もっとはっきり言えば金融政策によって変わってくる。景気のテコ入れのために日本円を増発して市場に多額のマネーを投入する金融緩和をおこなっているときは比較的融資が受けられやすい環境である。逆に金融引締めをおこなっているときは融資が絞られるのは想像に難くないだろう。いわば時期によって創業融資の難易度は変わってくるのだ。2018年現在の状況はどうかと言えば金融緩和の下で融資の受けやすい時期である。

二つ目の申請の仕方によって変わってくるということだが、こちらは金融機関が融資先として好ましいと感じるような姿勢と説明の話である。政府系金融機関にしても民間の銀行にしてもいつも夥しい数の申請を捌いているので書類を隅から隅まで読むより自分たちが安心してお金を貸せると感じるポイントを突いているどうかを見ている。

申請の仕方によって融資額が数百万円も変わってくることもあるので馬鹿にならないところである。逆にしっかりツボを抑えていれば説明に膨大なエネルギーを費やさずとも大きな額の融資を受けることが可能だ。

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もし相談を受けたいという方は以下よりお知らせいただきたい。

ちなみに日本居住者にしか適用されないこの創業融資制度の利用は一生に一度だけ。挑戦するにしてもやり方によって融資の獲得金額が大きく違ってくるという要素もある。いずれにしても創業融資の機会を含めて日本居住者の資産であり、人生を切り拓く武器であると思う。その貴重な資産を利用するかしないかはもちろん本人の自由。

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