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2021年もはや12月。海外への出張も海外からの来客もなく、出勤しては多くの作業をオンラインでこなす単調な毎日が時間が過ぎる体感速度を上げているのか、あっという間に来月は2022年という感だ。当然のことだが以前は毎月のようにあったHSBC香港口座開設サポートの依頼も途絶えて久しい。手元の記録を当たってみると最後に口座開設のサポートをしたのは2019年9月のことだった。

現在日本から香港を訪れるとホテルで3週間の隔離が義務付けられているので当然といえば当然だ。よくよく思い出せば2019年その当時、香港で大規模な反政府デモが頻発していた関係ですでに多くの人が香港への渡航は避けたり延期していたのだがそんな印象はその後の世界を巻き込んだ渡航制限ですっかり消え去ってしまった。

我々も日本から訪れる方々に会えずに寂しいが、何らかの手続きが必要で”反政府活動の混乱が収まってから、、”と2019年当時に香港渡航を予定していた人がすでに2年以上も待たされているケースも少なくない。

HSBC香港口座の種類

さてこの間にHSBC香港のサービスにもいくつか変化があった。規約の変更により口座保有者全員に通知されて行われたものもあれば、水面下でじわじわと進んでる変化もある。前者においてこの期間におけるもっとも大きなサービス面での変更はパーソナルインテグレーテッド口座(スマートバンテージ口座)とアドバンス口座が統合され、最低預金額や預金残高がそれに満たない場合の口座維持手数料が廃止されたことだろう。

かつてHSBC香港の口座の種類は預金額のレベルによって分かれていて、以下のように最低預金額と口座維持手数料が設定されていた。カスタマーサービスもこの分類に従って設置されていた。

パーソナルインテグレーテッド(スマートバンテージ):最低預金額 HKD5,000  口座維持管理手数料 HKD60/月
アドバンス:最低預金額 HKD200,000  口座維持管理手数料 HKD120/月
プレミア:最低預金額 HKD1,000,000  口座維持管理手数料 HKD380/月

このうちパーソナルインテグレーテッド口座については2019年6月に最低預金額と口座維持手数料が廃止された。ちょうど反政府デモが活発化し始めた頃である。その年末にかけてデモ隊と警察の衝突は激しさを増し、多くの人が香港への渡航を控えるようになった。

2020年が明けると中国の武漢で謎の肺炎の集団感染が発生、その後はまたたく間に世界に感染が広がり、防止策としての行動規制のために物理的に人が集まることができなくなり想像もしなかった形で反政府デモは沈静化した。間髪入れずに渡航制限が始まりさらに香港に来るのが難しくなってしまった。

HSBC香港ワン口座(One Account)

パーソナルインテグレーテッド口座とアドバンス口座が統合されてワン口座(One Account)という口座に生まれ変わったのは2020年10月27日のこと。ワン口座は最低預金額の縛りがなくなったため、旧アドバンス口座の保有者にとってのある意味朗報となった、が。。一方でサービスの質が目に見えて低下してきている。

昨今のスマホアプリの普及やセキュリティレベルの向上に伴い、インターネットバンキングの操作は複雑化しておりミスが起こりやすくなっている。そしてネットバンキングにしてもATMカードにしても3回以上パスワードの誤入力を繰り返すとロックしてしまい、その復旧のためにカスタマーサービスへ電話して解決しなければならない事態が頻発している。ただそれ自体は高いセキュリティ意識が生み出したものなのでもちろん悪いことではない。

HSBC香港カスタマーサービスの現状

問題はカスタマーサービスの電話対応である。ワン口座のカスタマーサービスへの電話(+852-22333000)が極めて繋がりにくくなっているのだ。電話をすればカスタマーサービス担当者と話ができるまでにまず確実に30分以上待たされる。ときには1時間以上繋がらないことさえある。以前は時々待たされることもあったが今は必ずと言って良いほど長時間の”待ち”が必要だ。日本から国際電話をかけてこれだけ待たされるのは電話代も馬鹿にならないが、通常5分程度で完了するトラブル解決のために30分も1時間も待たなければならない時間の浪費は多くの人にとって苦痛なのは間違いない。もともとパーソナルインテグレーテッドとアドバンスと2つ存在したカスタマーサービスも統合したがおそらく同時に人員削減によるコストカットもおこなったのではないだろうか。

要するに最低預金額や維持手数料を廃止した代わりにサービスの質も「安かろう、悪かろう」のレベルに落として採算を均衡させたのだろう。元々最低預金額を下回って口座維持手数料を払っている人はパーセンテージにしてそんなに多くはないから手数料収入などたかが知れているし、そっちの基準を廃止してサービスレベルの維持を諦めた方が利益になるというのは残念ながらこの世知辛い世の中で理に適っている。

ちなみにプレミア口座の方は以前と変わらず電話はすぐにつながる。こちらはもちろん最低預金額も口座維持管理料も健在だが。預金残高がHKD1,000,000(約1,450万円)を超えている人、少し増やせばそうなる人はプレミア口座にアップグレードしておくのも得策かもしれない。あとはこれまでずっと思い続けていることではあるがこんな変な状況が早く終わって簡単に海外との行き来ができるようになり現地での解決が選択肢に加わるのを願うばかりである。

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2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

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