「Airbnb(エアービーアンドビー)」はすっかり世の中に定着した感がある。

多くの人は知っていると思うが一応説明しておくとAirbnbは自分が持っている空き家や空き部屋に人を泊めて宿泊料をもらう「民泊」を斡旋しているマッチングサイトである。

民泊ビジネスの隆盛

空室を有効活用でき、また宿泊する側もホテルとは違った価格帯、雰囲気の部屋での滞在を楽しめるので人気が高まっているのだろう。(日本で民泊を営業をする場合は法律や条例を遵守する必要がある)Airbnbはもともと自分がすでに所有している物件を民泊用に貸し出すことから始まったらしいが収益が上がることが広まるとともに空室の賃貸物件を自分で借りてそれをAirbnb用に貸し出す人も増えてきた。

例えば月10万円のアパート一室を借りてレンタル料(家賃)を支払い、それを一泊1万円で貸し出せば10日間の稼働で家賃が回収できる。仮に月20日間貸し出すことができれば10万円の粗利が手元に残るのである。1年間で120万円のレンタル料を払って借りた部屋を運用してより高い収益を狙ってゆく初心者にも非常にわかりやすいビジネスである。

融資に対する間違ったイメージ

自宅を買ったり、事業を始めようとするときに手元に十分な資金がなければ融資(ローン)を利用するケースがある。というより、キャッシュで家を買える人などあまりいないので基本的には住宅ローンを借りるはずだ。事業を始めるときには完全に自己資金でやる人もいるが創業融資を利用する人も少なくない。

ところで、「融資を受ける」ということに対して抵抗感やときには恐怖感を覚える人もいるのではないだろうか?「借金をする」という日本語からはついついコワい人たちが取り立てに来たり、夜逃げ、一家離散、人間関係の破壊、自殺などさまざまな良くない言葉を連想してしまう。

小説やドラマなどの登場人物がしている借金は往々にしてこうした暗い側面を扱われることが多いし、ニュースでも借金の絡んだ金銭トラブルはだいたい事件がらみで報じられる。なので借金をすることに悪いイメージを持ってしまうことは仕方のないことかもしれない。

しかし世の中のほとんどの融資や借金は問題なく返済されているのである。繰り返し借金や融資が世の中でおこなわれているのが何よりの証拠である。

借金をキチンと返している話は物語としてドラマチックではないので創作の題材として取り上げられることはないし、そこから事件が起こることもないからニュースになったりしない。そもそも「融資を受ける」と「借金をする」は完全にイコールではない。ざっくり言ってしまえば融資は広義での借金の一形態にすぎない。親や親戚、友人からお金を借りることは借金をすることではあるが融資を受けるとは言わない。

融資の正体

一般に融資を受けるというのは銀行や公的機関、金融業のライセンスを持っている会社からきちんと審査を受け、金利や返済条件を取り決めたうえでお金を借りることである。つまり融資は日本の法律の規制を受ける事業の中でお金を借りる行為であるといえる。例えば地方銀行から「金利2.2%、5年で元本+金利を返済するという条件で1,000万円の創業融資を受ける」というようなことだ。この融資を受けて条件通りに返済すると以下のようになる。

【1年目の返済額】
元本返済合計:945,000円
金利返済合計:213,956円
1年目返済額合計:1,158,956円

【2年目の返済額】
元本返済合計:2,268,000円
金利返済合計:172,134円
2年目返済額合計:2,440,134円

【3年目の返済額】
元本返済合計:2,268,000円
金利返済合計:121,706円
3年目返済額合計:2,389,706円

【4年目の返済額】
元本返済合計:2,268,000円
金利返済合計:71,843円
4年目返済額合計:2,339,843円

【5年目の返済額】
元本返済合計:2,251,000円
金利返済合計:21,984円
年合計返済額:2,272,984円

【5年間の累計返済額】
元本返済合計:10,000,000円
金利返済合計:601,623円
年合計返済額:10,601,623円

これ以上でも以下でもない。金利はお金のレンタル料である。つまり5年間で約60万円のレンタル料を支払って1,000万円を借り、それを運用して収益を狙うということになる。冒頭にあげた120万円のレンタル料を払って借りた部屋を運用して収益を狙うこととなんら違いはない。

Airbnbは自分にもできそうだと思えても融資を受けるのは怖いと感じるのであればそのギャップが借金についての間違ったイメージが染み込んでいる場所であると言える。

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